クルマに環境性能の高さが求められているが、そのなかでも路面に接地しているタイヤが重要な役割を占めている。タイヤの進歩は日進月歩だが、エコタイヤはなぜ「エコ」なのか?
正直クルマにあまり詳しくない人では、「エコ」と言われてもピンとこないタイヤ。エコタイヤを装着すると、どうお得になるのか? そしてどれほどの効果があるものなのか? またクルマに詳しい人では、エコタイヤだと走行性能を低下させるのではないか? という点を気にする人もいるだろう。
今回はエコタイヤは、どんなカーライフを送る人にエコタイヤは向いているのか? を解説していきたい。
文/斎藤聡
写真/ヨコハマタイヤ、編集部
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■エコ=低燃費? 意外に知らないタイヤの基礎知識
最近よく耳にする「エコタイヤ」っていったいどんなタイヤなのでしょう? なんとなく燃費がよくなるらしいという話は聞いたことがあるけれどホント?
というわけで、ここでは低燃費タイヤについて解説してみたいと思います。エコタイヤを「低燃費タイヤ」と言い換えたのは、後述する理由で、公式に低燃費性能を持っていると認められたタイヤを低燃費タイヤと呼ぶことになっているからです。
さて低燃費タイヤ、ほんとに燃費ってよくなるの? という疑問を持っている人は案外少なくないのではないかと思います。低燃費タイヤは転がり抵抗が少ないので、そのタイヤに付け替えるだけで燃費がよくなることが多いと思います。
というのは、最新のクルマは純正装着タイヤの転がり抵抗を少なくする傾向にあるからです。
一般的にはタイヤのグリップ性能と転がり抵抗はトレードオフの関係にあり、転がり抵抗を少なくするとグリップ性能が悪くなる傾向にあります。これまで(10年以上前の話ですが)、タイヤで多少燃費をよくするなら操縦安定性のほうが大事という考えかたが大勢を占めていました。
CO2削減が世界規模での問題になり、近年では自動車メーカーも燃費性能に力を入れていて、タイヤメーカーも本腰を入れて転がり抵抗の少ないタイヤの開発に取り組み始めます。
2005年前後、省燃費タイヤが注目を集めるようになると、タイヤメーカーは各社独自に低燃費タイヤの発売を始めます。他メーカーと比較することはできないので、「当社比」として、転がり抵抗30%低減とか50%低減といった具合に、基準のあやふやな数字の競争が始まります。
これと時期を同じくして、欧州で転がり抵抗とウェットグリップ性能、通過騒音をタイヤに表示するタイヤのグレーディングシステム(等級制度)の導入が検討され、2011年から施行されました。
これは、一定の基準を満たしていないと販売ができないという厳しいもので、国内タイヤメーカーも欧州でタイヤを販売していますから、基準に適合した新しいタイヤの開発でてんやわんやでした。ちなみに欧州のタイヤグレーディングは、燃費や転がり抵抗には幅が持たされていますが、通過騒音の項目があり、これが各メーカーを悩ませていたようです。
話がそれましたが、日本でも消費者の混乱を招かないよう、欧州タイヤグレーディング制度を参考にして、2009年に「低燃費タイヤ等普及促進に関する表示ガイドライン」を日本タイヤ協会(JATMA)が発表します。じつは欧州より約2年早い2010年1月から始まり段階的に表示されることになりました。
ちなみに、日本のタイヤグレーディングは、転がり抵抗とウェットグリップに関する評価で、転がり抵抗はもっとも転がり抵抗の少ない「AAA」から、「AA」「A」「B」「C」と5段階に分類。
ウェットグリップは、グリップ性能の高い順から「a」「b」「c」「d」の4段階で表示。このうち転がり抵抗がAAA~Aで、なおかつウェットグリップがa~dのものを「低燃費タイヤ」と定義しています。
転がり抵抗とともにウェットグリップ性能が表記されることになったのは、2つの性能を両立するのが難しいからです。
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