フォレスターにターボ復活!! 新エンジン採用の真の狙いと背景

フォレスターにターボ復活!! 新エンジン採用の真の狙いと背景

 2020年10月22日、スバルは主力車である「フォレスター」をマイナーチェンジして発売した。今回のマイナーチェンジでの最大のニュースは、現行型登場時に廃止されたターボエンジンが復活したことだ。

 現行型では、旧型フォレスター(4代目)で設定していた2L水平対向4気筒の直噴ターボエンジンを廃止し、同2.5L自然吸気エンジンを搭載したが、今回改めて2代目「レヴォーグ」にも搭載されている1.8Lの直噴ターボエンジンを搭載することになったのだ。

 再びターボ化にする狙いとは何なのか? 新たな1.8L直噴ターボエンジンはこれまでのエンジンと何が違うのか? ファンとしても、あえてターボを復活させる理由は気になるところだろう。

 今回は、ここまでの現行フォレスターのエンジンの変遷を語りつつ、なぜ今再びのターボエンジンなのか考察していきたい。

文/岡本幸一郎
写真/SUBARU、編集部

【画像ギャラリー】マイナーチェンジで新たな1.8L直噴ターボエンジンを搭載したフォレスターの4グレードをチェック!!


■復活のターボエンジン! 現行フォレスターに見るその変遷

 現行型になって約2年、2020年10月22日に発表されたスバル「フォレスター」の改良モデルには、2代目「レヴォーグ」にも搭載された1.8Lの直噴ターボ”DIT”エンジンを積む新グレード「SPORT」が設定されたほか、これまでの「Advance(アドバンス)」だけでなく、「Touring(ツーリング)」と「X-BREAK(Xブレイク)」にもe-BOXERが拡大展開されるなど、パワートレーンに大きな変更があった。

マイナーチェンジした「フォレスター」。「新型レヴォーグ」にも搭載された1.8Lの直噴ターボ”DIT”エンジンを積む新グレード「SPORT」が設定された。車両価格は291万5000~328万9000円
マイナーチェンジした「フォレスター」。「新型レヴォーグ」にも搭載された1.8Lの直噴ターボ”DIT”エンジンを積む新グレード「SPORT」が設定された。車両価格は291万5000~328万9000円
こちらは新型レヴォーグの1.8L 直噴ターボ”DIT”エンジン。フォレスターに搭載するものも177ps/300Nmで新型レヴォーグと同じだ
こちらは新型レヴォーグの1.8L 直噴ターボ”DIT”エンジン。フォレスターに搭載するものも177ps/300Nmで新型レヴォーグと同じだ

 2.5Lモデルは廃止されたが、名称のとおり内外装も仕立てられた新しいスポーティグレードに与えられた動力源として、現行フォレスターにこれまで設定のなかったターボエンジンが復活したのがポイントだ。

 件の「SPORT(スポーツ)」に搭載されるCB18型エンジンスペックは最高出力177ps/5200~5800rpm、最大トルク300Nm/1600~3600rpmとなり、e-BOXER搭載グレードのFB20型エンジンが同145ps/6000rpmと188Nm/4000rpm、モーターが同10kWと65Nmであるのに対し、だいぶ強力なのはいわずもがな。

 従来のFB25型 2.5L自然吸気が同184ps/5800rpmと239Nm/4400rpmだったので、そちらと比べてもピークパワーではやや下回るも過給の強みでトルクでは大幅に上回っており、発生回転数が圧倒的に低くワイドだ。

 思えば、2018年に5代目フォレスターが登場した際には、一新されたパワートレーンの設定が少なからず物議をかもしたものだ。当時はひと足先に「XV」に設定されたe-BOXERがフォレスターにも採用されたいっぽうで、かつてフォレスターのイメージリーダーだったターボが廃されたことには、時代とはいえ少なからず衝撃を覚えた。同じく象徴的だったMTの設定もなくなった。

 4代目には、日本国内向けにはFA20ターボとFB20の自然吸気の2タイプが用意され、海外仕様では北米向けの2.5L自然吸気のFB25や、欧州向けにディーゼルもあった。

FA20型 2L直噴ターボ”DIT”エンジンを搭載していた4代目フォレスター(2.0XT)。FB20の自然吸気エンジンも用意されていた
FA20型 2L直噴ターボ”DIT”エンジンを搭載していた4代目フォレスター(2.0XT)。FB20の自然吸気エンジンも用意されていた

 それが5代目の発売当初はFB20+モーターとFB25とされたのは、一時期は6割超にも達していたという、かつてはフォレスターのイメージリーダーであったターボモデルの販売比率が代を重ねるごとに下がっていき、4代目ではかなり少なくなっていたことが影響していたようだ。

 なぜそうなったかというと、ターボモデルはずっと圧倒的な動力性能により乗り手を魅了したいっぽうで、むろん世の中の空気が変わったこともあるが、自然吸気エンジン車のドライバビリティが向上したことも小さくない。

 それに寄与しているのがリニアトロニックの採用だ。車両実験部のトップはCVTのことを「万難隠す」と評していた。かつての実用域のトルク特性に弱点のあったエンジンと段数の少ないトルコンATとの組み合わせでは、そのエンジンの素性がモロに走りに出ていたところが、リニアトロニックにより自然吸気エンジンでもあまりストレスを感じることなく走れるようになり、より多くのユーザーから選ばれるようになったわけだ。

次ページは : ■開発陣の考えていた!? スバルがターボ回帰を果たしたワケ

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