長い間クルマを使用していると、燃料が燃焼した際に発生するカーボンなどがエンジン内部にたまり、コンディションを低下させることがある。
近年は燃費が良好なことから、直噴ガソリンエンジンを搭載した新車が増えているが、直噴エンジンは特にこのカーボンがたまりやすい構造となっている。
そんな低下したコンディションを改善したいと思った時、気になるのがガソリン添加剤だろう。ただ実際に効果があるのか半信半疑だ……という人もいると思う。
今回は、メーカーのエンジン開発者への取材でも判明したガソリン添加剤の必要性と、使い方のポイントについて解説していきたい。
文:国沢光宏
写真:Adobe Stock(nexusseven@Adobe Stock)
ベストカー2020年11月10日号
【画像ギャラリー】愛車のコンディション向上の強い味方! 知っておきたいガソリン添加剤のホントのところ
■メーカーの開発者も勧めるガソリン添加剤のホントのところ
燃料に清浄剤を添加すべきだろうか? 結論から書くと「ぜひ使うべし!」になります。
この件、複数の自動車メーカーのエンジン開発担当者に聞いてみた。すると口を揃えて「使うことを推奨します」。「不要」という返事かと思っていたため意外だったのだけれど、続けて「だから純正の燃料添加剤を用意しています」という。
調べてみたら本当でした。スズキを除くすべてのメーカーから純正ブランドの燃料添加剤が出ている。成分はすべて同じで『PEA』となる。
PEAとは「ポリエーテルアミン」の略で、焼かれてカチカチになったカーボンなどのデポジットを落とすのに最も効果のある浄化剤として広く使われてます。実際、自動車メーカーが純正品として出している浄化剤はすべてPEA入り。市販の浄化剤の多くも同じ成分だと思って間違いなし。よって入れるなら安い製品を選んだらいい、とはならない。問題はPEAの濃度だ。安くてもPEA濃度低ければたくさん使わないとならないですから。
ということで調べてみたら、最も濃そうなのがスバルの純正浄化剤で、ガソリン75Lに1缶の添加だと書いてある。続いてトヨタとマツダの浄化剤となり、70Lに1缶。一般的な浄化剤だとKUREのパーフェクトクリーンが40〜60Lに1缶という指定だから最も濃いということなのかもしれません。流通価格と濃度のバランスを考えたらパーフェクトクリーンがベストか? メインの内容物は同じため、そのほかの効能など総合して考えればいいんじゃなかろうか。
ここから「なぜ必要か?」という説明です。ガソリンを燃やすと必ずと言ってよいほどデポジットが発生する。特にチョイ乗りなどで発生しやすい。そのまま乗ってもハッキリ体感できるようなパワーダウンなどないし(デポジットが溜まるような乗り方だとフルパワーなど使わない?)、不具合を出すこともないという。エンジン内部が汚れていても案外影響ないそうな。だからこそ大半の人たちは浄化剤など使わないで乗ってる。実際、使わなくてよい。
しかし! クルマ通なら少しでもコンディションのよい状態でクルマに乗りたいことだろう。なかでも最近増えている直噴エンジンは、噴射ポートにデポジットが付きやすい。直噴の場合、最適なガソリン霧化をしなければ理想の燃焼になりません。ひと昔前は直噴=清浄剤を含むハイオク指定でデポジット防止もできていたものの、今やハイオクに清浄剤は入っていないと思ったほうがいい。
自動車メーカーのエンジン担当者によれば、「1万kmごとくらいに使うことをすすめます」だそうだ。
ベストカー読者のような達人なら1万kmに1回の浄化剤添加を推奨しておきたい。60Lタンクなら満タンで1缶。残量警告灯くらいまで走ればいいと思う。燃料タンク容量で決めてください。
私の場合、スバル「WRX S4」とBMW「330i」が直噴エンジンのため、1万kmごとに2回連続して浄化剤を使う予定。もちろん鈍感な人なら調子悪くなるまでそのまんま乗っても大丈夫です。そうそう。レギュラー仕様でノッキングする人も、ぜひ浄化剤を試してみて欲しい。
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