手頃なサイズの実力派! 消えた国産5ナンバーワゴンの魅力

■20世紀のマツダを牽引してきた一等星

●マツダ カペラワゴン

マツダ カペラワゴン(1994年-2002年)/全長4,515×1,690×1,375mm
マツダ カペラワゴン(1994年-2002年)/全長4,515×1,690×1,375mm

 ファミリアとともに20世紀のマツダを牽引してきたのがカペラだ。1970年にロータリーエンジン専用車として鮮烈なデビューを飾り、82年にモデルチェンジした4代目から駆動方式はFFになる。また、5ドアのハッチバックも投入した。このカペラは日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いている。

 そして1997年秋に誕生したカペラが最後のカペラになった。プラットフォームを一新し、ワゴンも最新のファッションをまとっている。エンジンは2Lの直列4気筒DOHCが主役で、実用域のトルクが太く、扱いやすかった。

 また、一歩先を行くワゴンとSUVのクロスオーバーワゴンを送り込み、注目を集めた。フロントバンパーをガードバー風のデザインとし、丸型フォグランプを組み込んでアウトドア派を喜ばせている。

 が、車種を広げすぎ、安売りしたツケがマツダを苦しめ、良質なカペラワゴンの魅力はかすんでしまう。そして2002年に惜しまれつつカペラは消滅する。

■ファッション性を加味した欧州風ステーションワゴン

●日産 アベニール

日産 アベニール(1990年-2005年)/全長4,460×1,695×1,460mm
日産 アベニール(1990年-2005年)/全長4,460×1,695×1,460mm

 それまでのステーションワゴンは、ライトバンを発展させた格好だけのものだった。

 が、1980年代後半からアウトドアブームが到来し、この機をとらえ、欧州のワゴンのように、ファッション性を加味したステーションワゴンが次々に登場。1990年5月にデビューした日産のアベニールも、時流に乗って登場したミドルクラスのワゴンである。

 それまで日産にはスカイラインとブルーバードにワゴンが用意されていた。この両者を統合する形で登場したのがアベニールだ。だが、ワゴンだけでは多くの需要を望めないので、ライトバンのアベニールカーゴも設定した。

 ストラットとトーションビームの組み合わせによりキャビンだけでなくラゲッジルームは広く、荷物を積みやすい。FF車だけだったが、5か月後にフルタイム4WDのアテーサを追加し、ファン層を広げている。途中でアベニールサリューと名を変えた初代アベニールはクリーンヒットを飛ばした。

 そして1998年夏に2代目アベニールがベールを脱いでいる。フラッグシップは初代の最終型で加わった2LのSR20DET型直列4気筒DOHCターボ搭載車だ。4WDと組み合わせ、道を選ばないスポーツワゴンとなっている。

 フロント周りをラギット感のある精悍なデザインにアレンジしたGT4が好評だったので、後期モデルは顔も力強い。が、日産の経営立て直しのあおりを受け、2005年に消滅した。使い勝手のよさがウケていただけに残念だ。

■シビックによく似た本格派

●ホンダ オルティア

ホンダ オルティア(1996年-2002年)/全長4,570×1,695×1,450mm
ホンダ オルティア(1996年-2002年)/全長4,570×1,695×1,450mm

 シビックには知る人が少ないが、ライトバンが用意されていた。これを発展させたシビックカントリーが2代目に設定され、ちょっと小粋なワゴンとして持てはやされている。

 その後は背の高いシビックシャトルが主役の座に就いたが、6代目シビックの時、本格派のステーションワゴンがデビューを飾った。それが1996年2月に発売されたオルティアだ。

 シビックを名乗っていないが、メカニズムは6代目シビックのものを用い、デザインもよく似ていた。ポジションとしては、シビックシャトルの後継ワゴンと位置付けられている。

 シビックよりボディサイズは大きく、延びた分の大半はラゲッジルームに当てられた。だから広かったし、フロア形状もよかったから荷物を積みやすい。かさばる荷物だけでなく長尺物も難なく飲み込む。

 ガラスハッチも重宝した。エンジンもパワフルだ。車格より大きい1.8ℓと2ℓの直列4気筒DOHCだから余裕があった。

 また、5速MTならスポーツモデルを追い回せるほど速い走りを見せる。サスペンションは4輪ともダブルウイッシュボーンだから気持ちいい走りを楽しめた。

 使い勝手のいい魅力的なステーションワゴンだったが、ストリームの登場によって販売が落ち込み、2002年に自然消滅している。

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