■SUV編
1990年代のRVブームは、パジェロやハイラックスサーフといった本格派クロカン中心に盛り上がったが、同時にCR-VやRAV4、ハリアーといった都会派クロスオーバーSUVの胎動があり、ふたつの流れが並行して隆盛を極めていったのですね。
クロカン系は淘汰の末、現行ジムニーという究極の存在の登場を見るにいたり、またクロスオーバー系は百花繚乱多くのデザイン的挑戦があった。近年はC-HRのようなクーペSUVや、新型ハリアーのようなスペシャルティSUVも、デザイン的にも勢力を伸ばす勢いを見せている。そう、国産SUVは世界のSUVデザインの源流&震源地と言っても過言ではないだろう!
●編集部が選出した「いいデザイン」のSUV3台
・トヨタ FJクルーザー
【清水の寸評】ランクル40の復古デザインでありながら、観音開きドアという革新性も合わせ持つ。プラドベースの本格派クロカンなのにクロスオーバー系でもある、異色のデザインが光る。
・トヨタ 現行ハリアー
【清水の寸評】かつて都会派SUVの扉を開いたハリアーは、現行モデルでスペシャルティSUVの元祖ともなった。ただ、流麗なデザインはどこか表面的で、本能に訴える力強さには欠ける
・マツダ 現行CX-3
【清水の寸評】コンパクトながら躍動感に満ちたフォルムは、工芸品的な美しさを持ちながら、スポーツカーのような軽快感やスピード感に満ちていることにビックリ! すべてのバランスが絶妙
●3台のなかで清水が推す1台は?
・マツダ 現行CX-3
見れば見るほど、ケチのつけようがないデザインだ。特に美しくうねったウエストラインと、なだらかに下がっていくルーフラインのハーモニーはすばらしく、ノーズをのびやかに長く見せ、スポーツカーのように「走りそう」な予感! フェンダーの黒い樹脂部の形状や太さも完璧だ。デザイン的な傑作であることは間違いないのだが、スポーティすぎるがゆえに、SUVとしては本流感に欠ける。
●が、しかし! 清水が独自に選ぶ「最高のSUV」はコレ!
・マツダ 現行CX-5
CX-3のデザインもすばらしいんだけど、CX-5にはそれを上回る王道感がある。フォルムはCX-3ほどスポーティではないが、そのぶん堂々とまっすぐに構え、ウエストラインもまっすぐ! 小細工ではない美しさとでも言おうか。
それでいて、グリルとヘッドライトをつなぐ部分の切り欠きは、意外性に満ちた精緻な破綻がある。これが一種の毒として脳裏に刻まれる。参りました!
■セダン編
ここ20年間の国産セダンのデザインは、どうにもならない衰退と、それに対する無駄な抵抗の歴史とでも言いましょうか。基本に忠実に端正にしてもダメ、スポーティにしてもダメ。大胆にしてもダメ。とにかく国内では何をやっても、売れなくなっていったわけです……。
しかし遡り、1980年代以降で見れば、マークIIはハイソカーとして一世を風靡し、初代シーマが国産車の枠をブッ壊して大ヒット。ランエボやインプレッサWRXは地味なセダンをフル武装して世界を席巻した。ただ本質に目を凝らせば、いいデザインもあったけれど、それほどの大傑作もなかった。やっぱり売れないから力も入らないよね……。
●編集部が選出した「いいデザイン」のセダン3台
・三菱 8代目ギャランVR-4
【清水の寸評】な、なぜこれを!? ギャランなら6代目のVR-4だろ! あれはもっと端正だった。でも、この系統ならランエボXじゃないか? ベースのギャランフォルティスも悪くなかったヨ!
・スバル WRX STI(最終型)
【清水の寸評】な、なぜこれが選ばれる!? ベースはマリオ高野が乗ってる4代目インプレッサG4だぞ! あれって傑作デザインか!? 地味で悪くないことは認めるが、武装なければ存在感ナシ
・トヨタ 現行カローラ
【清水の寸評】コンパクトなサイズで、セダンらしい端正さと、室内の広さ、そして大地に踏ん張る安定感を持っている。それでいて、どこか「ワル」な雰囲気すら帯びているのはカローラの革命!
●3台のなかで清水が推す1台は?
・トヨタ 現行カローラ
ほかの2台がちょっとありえない選出だったので、自動的にカローラになりました。前述のように悪くないデザインで、「カローラとしては」という前提付きなら歴代モデルとは比べ物にならないけれど、それはあくまで「カローラとしては」で、ここ40年でこれが国産セダンのベストデザインだとは到底言えないだろ……。いや、悪くないですよ、かなりいいですけど、ナンバーワンじゃないでしょ!
●が、しかし! 清水が独自に選んだ「最高のセダン」はコレ!
・日産 初代プリメーラ(P10)
いろいろなクルマが思い浮かんだのですが、結局すべてがピッタリきて、今見ても文句のつけようがないセダンがコレだった! どこにもとんがったところはない地味で端正なデザインだけど、その泰然とした雰囲気がいまだに忘れられない。
特徴としては、キャビンがベストバランスよりわずかに前方にあるキャブフォワード感。これが地味にインプレッシブかつスポーティで、遅効性の毒!
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