初代リーフの長短 『買ったことない』からこそ知りたいEV 普及率0.2%!?

初代リーフの長短   『買ったことない』からこそ知りたいEV 普及率0.2%!?

 これからはEVの時代と言われるものの、経産省によると日本のEV普及率は僅か0.27%(2015年)。多くの人々がEVを所有したことがないから「いざ買った時にネックになりそうな事」がイメージしづらいもの。

 国産EVの代表車種、初代リーフの中古車価格を見ると、初年度(2011)式は50万〜60万円台の個体が多く、対して2016年式は150万〜180万円台の中古車が中心。相場にはかなりの“振れ幅”があり、バッテリーに懸念があるからか初期型がかなり安いことも気になる。

 そんな初代リーフを実際に所有し、体感したからこそわかる長短とは、いったいどんな部分なのか?

文:国沢光宏
ベストカー2017年12月26日号


気になる「電池の劣化」はどのくらい進む?

2010年に発売され、航続距離の延長など改良を経ながら2017年まで発売された初代リーフ
2010年に発売され、航続距離の延長など改良を経ながら2017年まで発売された初代リーフ

 リーフの売れゆきに強いブレーキをかけているのは電池の劣化問題である。ちなみに劣化の度合いは日産が最初から主張しているイメージより少し悪かった。

 日産は「6年単位で考えるなら経年変化が1年で1.5%。走行による劣化は1万kmあたり1%」と言ってます。6年/6万km走ったリーフは、新車時の85%ということになるハズ。実際どうか? 大ざっぱにいって80%程度。

 ここまで読んで「新車時200kmの航続距離が160kmになるということですね」と思うかもしれない。

 たしかに初期型リーフのJC08航続距離は200kmながら、実際安心して走れる距離は130kmくらいだった。しかも初期型は電池切れを防ぐため、残量20%を切ったあたりから「早く充電しろ」という警報を出す。

 経年劣化で80%になるとどうか。100kmくらいで残量警告灯出てしまう。もう少し詳しく書くと、エアコン使ったら80km。ヒーター使うと60kmというイメージ。60kmで残量警告灯出てしまうと、電欠が心配で落ち着かない。

 ちなみに電池保証もあるけれど、普通に使っていれば99.9%問題なし。私のリーフもラリーなど競技に使ったが、保証してくれる容量を余裕でクリアした。

劣化した電池は最新のものに交換できる?

リーフのモニター。航続距離やエアコンのオン/オフによる航続距離の目安なども表示される
リーフのモニター。航続距離やエアコンのオン/オフによる航続距離の目安なども表示される

 ちなみに電池交換の保証を受けたリーフの大半は、ディーラーで急速充電。自宅に戻ってその電力をリーフtoホームで使い、なくなったらディーラーに行って急速充電する、といったケース。

 大切に乗っている人ほど電池の劣化少ない。電池容量減ったら電池交換するしかないが、60万円少々かかるうえ、基本的にウェルカムではない。日産もおそらく赤字になるからだ。

 そもそも初代リーフを発表した時は、

 「6年後はバッテリーのリサイクルシステムが構築されています。自動車用バッテリーとして寿命になっても家庭用電源としては充分使えます。容量減ったバッテリーを下取りして、その時点での高性能電池に交換できるように考えます」

 と、すばらしいことを言ってましたね。私は信じたし、そう紹介したし、日本カー・オブ・ザ・イヤーで満点を入れた。

 すなわち電池容量減ったら、それほど高くない出費で最新の電池に交換できるということ。具体的にいえば、初期型リーフの電池を最新の40kWhタイプにして50万円といったイメージ。

 実際、家庭用電源は5kWhタイプで200万円以上する。80%になった初期型リーフですら、18kWhくらいの容量が残っているため、バラして再使用すれば数十万円の価値を持っているハズ。

 けれど、日産は再利用プロジェクトを立ち上げなかったため有利な条件での下取りはなし。加えて最新型電池への交換も否定している。初期型の電池を交換しようとすれば、旧式電池になってしまうのだった。

 そんなことから、初期型リーフの中古車価格は激落ち。日産ディーラーでの下取り価格も10万円という、超不人気車よりさらに安い査定しか付けてくれない。高い所に上げて階段ハズした。

次ページは : 電池の再利用プロジェクトでリーフはより安心して使える存在に

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