作れば売れる? ホンダはなぜ軽SUVを出さないのか

 スズキ ハスラーに続き、ダイハツ タフトも登場! 活況の軽SUV、なぜホンダは出さない?

 SUV人気がますます拡大するなか、先陣を切って軽自動車のSUVを送り出したのはスズキ。2014年に誕生したハスラーは予想以上の人気を得て、今年1月にフルモデルチェンジ。人気車として定着した。

 そうした状況を見るや、ライバルのダイハツも今年6月にタフトを投入。また、三菱もeKクロス、eKクロススペースを送り出している。

 そんななかホンダは軽SUVをラインナップしていない。人気が見込めそうなこのカテゴリーになぜ新車を出さないのか? その理由を自動車評論家の国沢光宏氏が解説する。

文/国沢光宏、写真/HONDA、ベストカー編集部

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■過去を見るとホンダも遊べる軽自動車を作っていた

1998年登場のホンダ Z。珍しいミドシップ4WDを採用するなど、凝りに凝った1台だったが、販売的には鳴かず飛ばずで終わってしまった

 ホンダは白ナンバーの、いわゆる“登録車”が販売台数を落としていることもあり、今や軽自動車を主力としたコンパクトカーメーカーに転換するしかなくなったように思う。

 けれどN-BOX以外のヒット車に恵まれない。真面目に作ったN-WGNも、10月の販売台数は8位のミラと10位のアルトに挟まれた9位。決して順調とは言えない。

 本来なら3つめの柱となるべきN-ONEながらずっと低空飛行。間もなくモデルチェンジするものの、中身はN-WGN&外観が旧型N-ONEのまんまで20万円の値上げ。

 こらもう売る前から失敗するのが誰にでも予想できる。ホンダ製軽自動車の販売台数は、大雑把に言ってダイハツやスズキの半分。日産+三菱自動車チームに迫られている。

 そんな状況のなか、期待されるのはタントやハスラーのようなSUV志向の“楽しいクルマ”だと思う。過去を見るとホンダも遊べる軽自動車を作っていた。

 古くはバモス。イギリスの「ミニ・モーク」をパクッたモデルで、なかなか可愛らしい。20年くらい前は大失敗ながら『Z』というミドシップのSUV風モデルをラインナップした。

 ホンダの中でもSUV風のモデルを作りたいという声はあるようだ。いや、もしかするとすでに開発中かもしれないが、少なくとも今後1年で販売する計画を持っていない。

 なぜか? いろいろ取材してみると、大きく3つの「作らない理由」を聞く。いずれも「なるほど」と思える反面、それはクルマ作りが上手じゃないからだとも感じる。

■ホンダが軽SUVを作らない3つの理由

いい意味でチカラの抜けたクルマ作りが苦手なホンダだが、ライフはそこそこのヒットをとばした

 1つ目は「過去に成功したクルマなし」ということ。今のN-BOXのような大ヒット作になったN360をベースに開発したバモスの販売状況と言えば、見事なカラ振り。

 もう少し詳しく書くと、スポーティモデルという位置づけの『Z』(初代)も、てんで売れなかった。そして前述の2代目Zは気合い入れた割に大赤字で終わってしまう。

 ホンダ、こういった肩のチカラを抜いたクルマ作りがヘタなんだと思う。そもそも軽自動車で大ヒットしたのは、N360とN-BOXくらいのもの(1997年のライフも中ヒットしましたね)。

 ヒットを狙って開発した先代N-WGNだって埋もれた。N-BOXスラッシュや、少し前になるがザッツなどウナりを上げたカラ振りだって少なくない。

 2つ目は、ホンダが悪路を嫌っている点にあると思う。

 考えて欲しい。ホンダというメーカー、少なくとも4輪車部門を見るとアウトドア&自然で遊ぼうという気持ちを感じない。CR-Vのようなクルマですら、初代からオフロードを積極的に走るようになっておらず、「なんちゃって」精神満載だった。クロカン4WDを作った歴史もない。

 SUVは好きな人が作らないと楽しいクルマにならない。ホンダの中に「アウトドアで遊べる軽自動車を作ろう!」という熱意を持った人が居ないとは思えないけれど、少なくとも新型車を開発する企画会議じゃ却下されてしまうようだ。

 逆に作ろうとすると、2代目Zのように凝りすぎて割高になっちゃうのかもしれません。

■3つ目の理由と今後ホンダの軽SUVが出る可能性は?

現行型N-WGN。完成度は非常に高いが、最新の2020年10月販売は5943台で、もう一声ほしいところだ

 3つ目は経営陣のセンスがないこと。

 軽自動車に限らず日本で販売されるホンダ車の全てに言えることながら、徹底的にユーザーを見ていない。直近の3年で発売されたクルマの大半は、見た瞬間「売れないでしょ!」と思えるモデルばかり。ジェイドやインサイト、クラリティなど日本で販売したって売れるワケないです。

 なかでも日本担当部門がダメだと思う。空気や市場の流れを読める人なら、4年前にSUV風の軽自動車を販売していたことだろう。感性の鈍い人だったとしても、4年前はSUV人気の兆候出ていたので、今年くらいに新型車として登場させられたハズ。

 市場を読むことに対する能力は決定的にない。だからこそN-ONEを20万円値上げする。

 可能性はないのか? 当然ながらあると思う。率直に言って現在の販売状況を見てSUV風のモデルを作らない理由がない。むしろ1日でも1か月でも早く売るべきだろう。

写真は現代のハンターカブと呼ばれるCT125。こういった遊び心あるモデルが四輪でもほしい!

 ということで文頭に戻る。2年以内にワクワクするSUV風の軽自動車を出さないような感性なら、もう自動車メーカーの企画担当として能力なし!

 ただ、ハスラーやタフトと勝負できるような魅力のあるクルマを作れるかどうかは不明。せっかく作ったってeKクロスやeKクロススペースは伸び悩んでしまっている。SUV風のモデルであり、なおかつ売れないとN-ONEのように赤字を出す状況になってしまう。

 2輪のハンターカブ作っているような人に頼んだら楽しいクルマになるか?

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