SKYACTIV-Xやロータリー電動車投入も期待と不安 マツダ新エンジン戦略の行方

ロータリーのレンジエクステンダーは「直6より先に開発すべき」

ロータリーエンジンを活用したEV発電機「レンジエクステンダー」は、すべてのサイズのクルマに活用できる
ロータリーエンジンを活用したEV発電機「レンジエクステンダー」は、すべてのサイズのクルマに活用できる

 スモール商品用とされるロータリーエンジンを使った発電機を搭載するEVのレンジエクステンダーは、ラージ商品にも使えると思う。

 ラージ商品になると、レンジエクステンダーで何十キロ何百キロも走行距離を延長できないかもしれない。しかし、そもそもレンジエクステンダーとは、距離を延ばすことではなく、充電できない場合の備えでしかない。

 MX-30のように、一充電走行距離を約200kmと割り切ったEVで、急速充電器が混雑して待たなければならないとか、電気を使い切って帰宅したら急用ですぐ出掛けなければならなくなったというような不測の事態に備えるのがレンジエクステンダーの目的だ。それ以外は、長距離移動でも途中で急速充電すれば済む。

 ディーゼルターボエンジン車の普及により、1回の給油で1000kmも走れることが当たり前のように語られるが、休憩もせずに1000km運転し続けることは安全運転の観点からも推奨されるものではない。

 トイレ休憩だけでも途中で息を入れるとき、必ずしも30分急速充電しなくても、5~10分でも電力を補充できれば距離を延ばせる。そして次の休憩でまた補充すれば、ほぼ問題なく遠出もできるはずだ。

レンジエクステンダーより不測の事態に備えることも重要であり、自宅以外での充電スポットを整備していくことも必要になっていく
レンジエクステンダーより不測の事態に備えることも重要であり、自宅以外での充電スポットを整備していくことも必要になっていく

 EVの時代となれば、自宅での充電のほかに、目的地での充電が認識されるようになるだろう。それが充電の基本だ。200Vで時間をかけ充電することにより、満充電にできるし、リチウムイオンバッテリーを劣化させにくい方法でもある。

 すでに、先見のあるホテルや旅館などには、200Vの充電設備があり、次第に広がっていくだろう。つまりEVの時代は、エネルギーチャージという発想そのものが、エンジン車と違ってくるのである。

 それを分からずエンジン車の発想でEVを開発しようとするから、ラージとスモールを分けて電動化するような新車開発になるのではないか。結果、世界で進行する規制へも対応が遅れてしまう。

 ロータリーエンジンのレンジエクステンダーは、直列6気筒エンジンより先に精力を込めて開発すべき項目といえる。

 そして、すべての車種でEVを基本とした構成とすれば、上質で高性能で、運転して楽しい新車が生まれる。プレミアムを自認するなら、日本のテスラとなることがマツダにとって最良の方向性ではないだろうか。

 また、ロータリーエンジンの発電機によるレンジエクステンダーは、提携関係にあるトヨタやスバル、そしてスズキやダイハツのEVへもシステムとして売ることができ、開発の投資を回収できるのではないか。

 そうすれば、レクサスから軽自動車までEVが誕生しやすくなると思う。

【画像ギャラリー】2021年にEV仕様が搭載される予定のマツダMX-30をみる

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