■中東とアメリカの関係性でガソリン価格は変わる!?
サウジアラビアとイランは犬猿の仲だ。イスラム教のスンニ派とシーア派の違いということだけでなく、親米と反米ということでも相容れない。
そこにもってきて、イランが内戦の続くイエメンやシリア、イラクに影響力を強めており、中東のパワーバランスに変化が起きているのだ。
そうした動きをムハンマドとサウジアラビアは脅威とし、2016年1月から両国は国交断絶しているのだ。
さらに、トランプ大統領も就任以来イランには強硬路線をとり、イランと、サウジアラビアとの関係は一触即発なのだ。
サウジアラビアとイランが戦争にでもなったら、それこそガソリン価格はどこまで上がるかわからない。というのも、サウジアラビアやイランを取り囲む紅海やペルシャ湾は、タンカーが常に行き交う場所だが、狭い海峡が多く、ひとたび混乱が起きれば、石油の流通に大打撃を与えてしまうのだ。
戦争にならなくてもサウジアラビアに、ムハンマド皇太子に反対する勢力が出てくるかもしれず、世界2位の原油産出国の政情不安は、そのサウジアラビアから3分の1以上の原油を輸入している日本に影響を与えているわけだ。
「中東情勢が落ち着きを見せるまで、高止まりとなるかもしれません」。先の記者はそういうが、アメリカの出方次第とも分析する。
シェールオイルを手に入れたアメリカは世界一の原油生産国であり原油輸入国だが、シェールオイルによってその比率は下がると予想される。
ただし、採掘のコスト自体は今のところOPEC加盟国のほうが安いとされ、直ちにシェールオイルに切り替わるとは考えにくい。
それよりも、アメリカは1975年以来石油の輸出を禁止してきたが、オバマ前大統領によって輸出が解禁された。
今のところ輸出されてはいないが、解禁に踏み切った理由は、シェールオイルでだぶつき気味の原油を売りたいことに加えて、ロシアやイランといった国が潤うことへの警戒もあるという。
そうなると、大口の顧客となりそうなのが日本だ。貿易赤字の穴埋めもそうだが、不安定な中東に石油を依存するよりも、アメリカから安定して買おうという動きが出ても不思議ではない。
そうなれば、石油供給の不安材料も少なくなり、日本のガソリンや灯油価格は今よりも下落することが考えられる。
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