令和の時代にマツダ新型FR&直6エンジン開発!! 新車戦略のカギは「根気」??


 マツダが正式に「直6エンジン、FRプラットフォーム開発」を公表したのは、2019年5月の決算報告会見でのことだ。その少し前から、「マツダが直6を開発か」という情報はでていたものの、「まさかこんな夢のような話が本当だったとは」と、クルマ系メディアやジャーリスト、そしてクルマファンたちが、大いに湧き上がったのを覚えている。

 コロナ禍の影響で、計画の全面見直しもあるのかと心配していたが、2020年11月、マツダは、中期経営計画見直しの中で、2021年に予定していた直列6気筒エンジンを搭載するラージクラスのモデルの投入時期を、1年ほど遅らせることを発表、一方で「エンジン自体の開発は順調に進んでいる」とも明かしており、今後に期待ができる状況だ。

 この令和の時代に直6エンジンを新たに作る、という、無謀とも思えるマツダの将来に直結する戦略「FR&直列6気筒化」は、はたして「吉」と出るのだろうか。

文:吉川賢一
写真:MAZDA

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マツダの直6は、すぐそこまで来ている!!

 コロナ禍による影響はいまだ計り知れず、各自動車メーカーは、生き残りをかけた作戦を展開している。去る11月9日に行われた、マツダの中期経営計画見直しにて、マツダの将来戦略が報告されている。まずはこの内容を振り返ってみよう。

 マツダは、「企業存続には「人と共に創る」マツダの独自価値が必須であり、成長投資を効率化しながら維持するとともに、CASE への対応を、協業強化と独自価値への投資で進めていく」といった内容を報告。

 そのうえで、この先2年の間に、「エンジン縦置きアーキテクチャーの開発」 「直列6気筒エンジン(ガソリン/ディーゼル/X)とAWD」 「プラグインハイブリッドと48Vマイルドハイブリッドによる電動化」 「ロータリーエンジン技術を活用したマルチ電動化」、という4つの軸を進めていく、という。

この先2年の足場固めとして、高出力/低CO2ハードウェア開発(Large商品群、マルチ電動化技術)を進めるという 新規直6エンジンの導入、直4プラグインハイブリッド、ロータリーエンジン技術を活用したマルチ電動化など、意欲的な戦略だ

 実際に、開発中の直列6気筒エンジン(ガソリン、ディーゼル)と、直4エンジン+プラグインハイブリッドの写真まで公開し、開発進捗の順調さをアピールした。写真ではあったが、現物を目にできたことで「ここまで進んでいるのか!!」と素直に驚いた。

 MX-30のプラグインハイブリッド開発で得た知見を、新規プラットフォームへと織り込むため、ラージ商品(MAZDA6やCX-5などのミドルクラス以上)の投入時期を、2021年の予定から1年弱遅らせることを決めたようだ。

11月に行われた決算説明会で公開された、マツダのLarge商品群(エンジン縦置き)のエンジン 左がガソリンの直列6気筒ターボ、右がディーゼル直列6気筒ターボ、中央が直列4気筒+PHEVのパワーユニットだ

直6の課題は、専用プラットフォームで解決か!?

 直6エンジンの振動のなめらかさ、軽快なふけ上がり、澄んだ音質ながら迫力のあるエンジンサウンド、これらに神話的なあこがれをもつ方は、とても多い。しかし、直6が消える要因を無視して、復活を語るわけにはいかない。

 直列6気筒エンジンが、軒並みV型6気筒エンジンに置き換わった最大の理由は、前面衝突試験に関する懸念であった。衝突試験の要件が厳しくなったことで、キャビンをつぶさずに、車両前端からエンジンルームまでの間で、より多くのエネルギーを吸収する必要がでてきたのだ。

 だが、全長が長い直6は、衝突した際にエンジンの逃げ場がない。前面衝突をすると、エンジンがキャビン側へと押し込まれてしまうため、乗員のダメージを低減することが難しかった。そのため、自動車メーカー各社は、排気量はそのままで、エンジン全長が直4並に短くできるV 型6気筒へと置き換え、衝突でつぶれる部分を増やし、衝突安全目標を満足させる方向へと舵を切った。

マツダ・ビジョン・クーペは、2017年10月に開催された東京モーターショー 2017で世界初公開されたコンセプトカー こうしたスタイリッシュなボディに、直6エンジンが収まるならば夢が膨らむ

 直6を復活させるには、この課題をクリアする技術目途が立っている必要がある。「重要視されるオフセット衝突は直6の方が有利」とか、「シミュレーション技術の進歩が解決する」という意見に触れることがあるが、物理法則を無視したようなアイディアでは、厳格な衝突試験をクリアすることは到底できない。依然として、縦置き+直6パッケージングの成立には高いハードルがあることは確かだ。

 だが、不可能ではない。全長が短い直6エンジンを開発し、プラットフォームも新規開発で、クラッシャブルブルゾーンを緻密に設計すれば、成立する解があるかもしれない。おそらく、マツダもこの方向で開発を進めているだろう。いかにこの課題を解くかが、マツダのエンジニアリングチームの腕の見せ所だ。

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