令和の時代にマツダ新型FR&直6エンジン開発!! 新車戦略のカギは「根気」??

直6の課題は、専用プラットフォームで解決か!?

 直6エンジンの振動のなめらかさ、軽快なふけ上がり、澄んだ音質ながら迫力のあるエンジンサウンド、これらに神話的なあこがれをもつ方は、とても多い。しかし、直6が消える要因を無視して、復活を語るわけにはいかない。

 直列6気筒エンジンが、軒並みV型6気筒エンジンに置き換わった最大の理由は、前面衝突試験に関する懸念であった。衝突試験の要件が厳しくなったことで、キャビンをつぶさずに、車両前端からエンジンルームまでの間で、より多くのエネルギーを吸収する必要がでてきたのだ。

 だが、全長が長い直6は、衝突した際にエンジンの逃げ場がない。前面衝突をすると、エンジンがキャビン側へと押し込まれてしまうため、乗員のダメージを低減することが難しかった。そのため、自動車メーカー各社は、排気量はそのままで、エンジン全長が直4並に短くできるV 型6気筒へと置き換え、衝突でつぶれる部分を増やし、衝突安全目標を満足させる方向へと舵を切った。

マツダ・ビジョン・クーペは、2017年10月に開催された東京モーターショー 2017で世界初公開されたコンセプトカー こうしたスタイリッシュなボディに、直6エンジンが収まるならば夢が膨らむ
マツダ・ビジョン・クーペは、2017年10月に開催された東京モーターショー 2017で世界初公開されたコンセプトカー こうしたスタイリッシュなボディに、直6エンジンが収まるならば夢が膨らむ

 直6を復活させるには、この課題をクリアする技術目途が立っている必要がある。「重要視されるオフセット衝突は直6の方が有利」とか、「シミュレーション技術の進歩が解決する」という意見に触れることがあるが、物理法則を無視したようなアイディアでは、厳格な衝突試験をクリアすることは到底できない。依然として、縦置き+直6パッケージングの成立には高いハードルがあることは確かだ。

 だが、不可能ではない。全長が短い直6エンジンを開発し、プラットフォームも新規開発で、クラッシャブルブルゾーンを緻密に設計すれば、成立する解があるかもしれない。おそらく、マツダもこの方向で開発を進めているだろう。いかにこの課題を解くかが、マツダのエンジニアリングチームの腕の見せ所だ。

マツダの技術力と心意気に期待!!

 マツダは、「FR&直列6気筒」で、世間の関心を集めることには成功した。これ以降、この戦略を吉と出すには、「成功するまで諦めないこと」が最も重要なことだろう。ここ10年のマツダのデザインセンスや、技術力の高さは、誰もが認めるところだ。

2020年4月、「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」が発表され、マツダ3が受賞した。ワールドカー・オブ・ザ・イヤー(WCOTY)の部門賞で、いわば世界で最もデザインが優れた車ともいえる
2020年4月、「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」が発表され、マツダ3が受賞した。ワールドカー・オブ・ザ・イヤー(WCOTY)の部門賞で、いわば世界で最もデザインが優れた車ともいえる

 また、「直6エンジンとFR駆動、実燃費も20km/Lを超え、デザインも最高のクルマにすれば売れる!!」、というわけでは全くない。メルセデス・ベンツやBMWが、ヒットし続けるFR車(※最近はセダンでも4WDが増えてきた)を作り続けられるのは、何世代にもわたって顧客との間に、信頼関係を築いてきたからだ。

 既存のマツダファンは、新型車を快く受け入れるかもしれないが、他メーカーからの乗り換えを、そう易々と勝ち取れるほど、ユーザーは単純ではない。

 「ローマは一日にしてならず」。仮に、その新型車が売れなくとも、1世代で諦めず、次モデルに向けて改善し、顧客へと訴え続ける「心意気」が、信頼関係を築きあげ、そしてそれがブランドをつくりあげる、ということになるはずだ。マツダの技術力と心意気に、期待している。

【画像ギャラリー】マツダのオールラインナップをギャラリーで確認!!

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