人気=実力とは限らない!? 人気車に優るライバル車の強みと実力

【人気車】トヨタ ヤリス/【競合】ホンダ フィット

「クルマとしての質や楽しさを重視したヤリス」。現状、販売面ではヤリスに軍配が上がっている(ヤリス/2020年11月販売台数:1万9921台)
「クルマとしての質や楽しさを重視したヤリス」。現状、販売面ではヤリスに軍配が上がっている(ヤリス/2020年11月販売台数:1万9921台)

 ともに2020年2月に登場した新型ヤリスとフィットは、「クルマとしての質や楽しさを重視したヤリス」、「万人向けのフィット」というまったく違うキャラクターを持ち、販売で優勢なのはヤリスの方である。

 ヤリスはスタイルやハンドリングなどが全体的にスポーティで若々しく、フィットの万人向けのキャラクターを頭に置くと、トヨタとホンダのイメージが逆になったような印象を持つ2台だ。

 それだけに、キャビンとラゲッジスペースがコンパクトカーの平均となるヤリスに対し、フィットは歴代モデル同様に4人の乗員と人数分の荷物が余裕をもって運べる広さを持つ点で優位。

歴代モデル同様に4人乗員と人数分の荷物を積める広さをもちつつ使い勝手の良い、「万人向けのフィット」(フィット/2020年11月販売台数:7161台)
歴代モデル同様に4人乗員と人数分の荷物を積める広さをもちつつ使い勝手の良い、「万人向けのフィット」(フィット/2020年11月販売台数:7161台)

 また、先行車追従型のACCが30㎞/h以上での稼働となるヤリスに対し、フィットは停止まで対応、クロスオーバーとなるクロスターを設定するなど、フィットのアドバンテージも多い。

 善し悪し以上に、万人向けで全体的によくまとまったフィットより尖ったキャラクターのヤリスの方が売れていること自体が大変意外であり、ヤリスの方が売れているのは、トヨタの販売力とブランド力の向上、モデルの古いアクアからの流入が大きいように思う。

【人気】トヨタ ノア&日産 セレナ/【競合】ホンダステップワゴン

 日本のファミリーカーの定番となった実質5ナンバーサイズのハイトミニバンにおいて、圧倒的に売れているのはノア/ヴォクシー/エスクァイア、単一車種ではセレナで、ステップワゴンの販売はさっぱりである。

5ナンバーサイズのハイトミニバンにおいて、圧倒的に売れているのは、トヨタノア/ヴォクシー/エスクァイアの3姉妹である。(ヴォクシー、ノア/2020年11月販売台数:6860台、4448台)
5ナンバーサイズのハイトミニバンにおいて、圧倒的に売れているのは、トヨタノア/ヴォクシー/エスクァイアの3姉妹である。(ヴォクシー、ノア/2020年11月販売台数:6860台、4448台)

 ノアは、モデルが古いためステップワゴンに対しアドバンテージはほとんどないが、セレナは自動ブレーキの性能、豊富なシートアレンジやガラス部分だけでも開閉できるバックドアに代表される使い勝手の良さといったアドバンテージを持つ。

ステップワゴンの良いところは、1.5Lターボによる全体的のフィーリングの良さ、フロアの低さによる乗降性と乗り心地をもつ(ステップワゴン/2020年11月販売台数:2294台)
ステップワゴンの良いところは、1.5Lターボによる全体的のフィーリングの良さ、フロアの低さによる乗降性と乗り心地をもつ(ステップワゴン/2020年11月販売台数:2294台)

 しかし、売れている2台のガソリン車が2L・NAエンジンのところ、ステップワゴンは1.5Lターボのため全体的にフィーリングが良好な点、ハイブリッドも2台よりパワフルで、フロアの低さによる乗用車に近いハンドリングと乗り心地、特にセレナに対する乗降性の有利さを持つ。

 さらにバックドアからも車内にアクセスできるワクワクゲート、床下にきれいに収まる3列シートと、使い勝手で勝っているところも多い。

 つまり、3台の中で総合力が高いのは売れていないステップワゴンであり、ここまで売れていないことの方が不思議だ。

【人気車】ホンダ N-BOX/【競合】日産 ルークス&三菱eKスペース

2020年12月24日にN-BOX、N-BOXカスタムをマイナーチェンジすることを発表した。写真は先行公開されたN-BOXである(N-BOX/2020年11月販売台数:1万5685台)
2020年12月24日にN-BOX、N-BOXカスタムをマイナーチェンジすることを発表した。写真は先行公開されたN-BOXである(N-BOX/2020年11月販売台数:1万5685台)

 N-BOXが最強の軽スーパーハイトワゴンなのは言うまでもなく、実に完成度が高い。

 ただ、小さくないN-BOX以外の競合3車(ルークス&eKスペースのほか、スペーシア、タント)のアドバンテージとして挙げられるのがルークス&eKスペースの自動ブレーキと、3台の運転支援システムだ。

 ルークス&eKスペースの自動ブレーキは、ミリ波レーダーにより1台先の先行車の床下を通じて2台先の先行車の動きもモニタリングしており、玉突きのような事故も防げる可能性を持っている。

K CAR・オブ・ザ・イヤーを受賞したルークス。インテリジェント FCW(前方衝突予測警報)により、玉突きのような事故を防ぐことができる(ルークス/2020年11月販売台数:9019台)
K CAR・オブ・ザ・イヤーを受賞したルークス。インテリジェント FCW(前方衝突予測警報)により、玉突きのような事故を防ぐことができる(ルークス/2020年11月販売台数:9019台)

 運転支援システムは4台とも先行車追従型のACCを設定しているのだが、N-BOXは30㎞/h以上での稼働なのに対し、N-BOX以外は停止まで対応する。

 ただ、ルークス&eKスペースはACCの設定グレードが少ない、スペーシアは操舵支援機能がない、タントは設定グレードが少ないことに加え先行車への追従が悪いなど、問題も少なくない。

 この点も軽スーパーハイトワゴンにとっては大きなことではないからこそ、N-BOXがブッちぎりなのだろう。

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