ポルテ・スペイドが消えた必然 画期的でプチブレイクしたのになぜ!? 【偉大な生産終了車】

ポルテ・スペイドが消えた必然 画期的でプチブレイクしたのになぜ!? 【偉大な生産終了車】

 毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

 時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

 しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

 訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はトヨタの2代目ポルテ・および初代スペイド(2012-2020)をご紹介します。

【画像ギャラリー】2020年9月 ひっそり生産終了…初代&2代目ポルテ、初代スペイドをギャラリーでみる

文/伊達軍曹、写真/TOYOTA


■ユニバーサルデザインに基づいた 新しい発想から生まれたポルテ

 運転席側は2枚のヒンジドアだが、助手席側には「1枚の大きな電動スライドドア」を採用。

 当初は堅調に売れていたが、他社からも同門からも「普通に両側スライドドアを採用した競合」が登場したことで失速。

 結果として2020年9月をもって生産終了となった小型トールワゴン。

 それが、トヨタの2代目ポルテおよび初代スペイドです。

 初代トヨタ ポルテは「使い勝手に優れ、しかも安心して乗れるクルマ」を目指して2004年に誕生しました。

初代ポルテ。全長×全幅×全高は3990×1690×1720mm。スライドドアを採用するのは「リアドアの両側か片側」というスタンダードがあるなか、後にも先にも「助手席側だけ1枚の大開口スライドドア」を採用した国産車はポルテ/スペイドだけ
初代ポルテ。全長×全幅×全高は3990×1690×1720mm。スライドドアを採用するのは「リアドアの両側か片側」というスタンダードがあるなか、後にも先にも「助手席側だけ1枚の大開口スライドドア」を採用した国産車はポルテ/スペイドだけ

 そして2012年7月に登場した2代目ポルテおよびデザイン違いの姉妹車であるスペイドも、その考えを踏襲。

 運転席側は普通に2枚のヒンジドアとなるが、助手席側は大ぶりな電動スライドドア1枚のみという、他にあまり例を見ない「左右非対称」のスタイルとなったのです。

2代目ポルテ(2012年)。開口幅1020mm・開口高1265mmの大開口ワイヤレス電動スライドドアと300mmのフロア高は初代から変わっていない
2代目ポルテ(2012年)。開口幅1020mm・開口高1265mmの大開口ワイヤレス電動スライドドアと300mmのフロア高は初代から変わっていない
2代目ポルテ(2012年)。後席は固定式だが、助手席にロングスライド機構を設けることでワゴン的な使い方も可能。キャビン内部に26インチの自転車を積むことが出来た
2代目ポルテ(2012年)。後席は固定式だが、助手席にロングスライド機構を設けることでワゴン的な使い方も可能。キャビン内部に26インチの自転車を積むことが出来た

 ボディサイズは全長3995mm×全幅1695×全高1690mmで、全高は先代より30mm低くなりましたが、子どもが立って乗り込めるという室内高への影響は10mm減に抑えられています。

 前後のシート間距離はレクサスLSにも匹敵する1050mmで、助手席は前後に700mmスライド可能。

 縦1250mm×横1020mmの大開口スライドドアと相まって、後席へのアクセスは非常に容易です。

 また後席の座面はチップアップ機能を備えているため、背の高い荷物を床に置くことや、26インチの自転車を横向きに積み込むことも可能でした。

 車台は先代ヴィッツと同じBプラットフォームで、搭載エンジンはヴィッツおよびカローラにも採用された1.3L直4ガソリンと、先代ゆずりの1.5L直4ガソリン。

 トランスミッションは当時最新のCVTで、最小回転半径もヴィッツ並みに小さい4.6mと、なかなか優秀なものでした。

 前述のとおり、発売からしばらくは子育て世代の女性ユーザーを中心にけっこう売れたのですが、2015年頃から販売台数が落ち込み、直近ではポルテとスペイドを合わせても月に500台そこそこ。

 そのためトヨタは2代目ポルテおよびスペイドの生産を2020年9月に終了。そして10月中旬頃には在庫分の売りつくし、販売のほうも終了となりました。

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