クルマの寿命が「10年・10万km」と言われていたのも、今は昔。近年のクルマは、技術進歩によって耐用年数もが伸びており、定期的にメンテナンスをしてさえいれば、20年、30年と経っても、元気に走らせることができます。
しかし、当たり前ながら、クルマの扱いが悪ければ、寿命は縮まってしまいます。普段の何気ない運転操作が、クルマの寿命を縮めているとしたら…。
寿命が縮まれば、乗ることができる期間は短くなりますし、リセールに出すとしても、クルマのダメージ次第で、下取り価格は変わってきます。軽自動車でもコンパクトカーでも、クルマは高い買い物ですから、少しでもコスパをよくしたいもの。今回は、日頃ついやってしまいがちな愛車にダメージを与えてしまうNG行為を5つご紹介していきます。
文:吉川賢一
写真:HONDA、AdobeStock、ベストカーWEB編集部、トビラ写真(Adobe Stock@buritora)
【画像ギャラリー】うっかりやってしまいがち!! クルマの寿命を縮めてしまうNG行為をギャラリーでチェック!!
クルマ止めからは「ちょっとだけ」離すべし!!
駐車場にクルマを止めるとき、クルマ止めがある場合は「クルマ止めにぶつかるまで下がる」のがマナー。しかし、クルマ止めに強く押し付けた状態のまま、駐車してしまうのは、クルマの寿命を縮めるNG行為です。
クルマ止めに強く押し付けることで、タイヤに余計な圧力がかかり、タイヤのトレッドやサスペンションのブッシュ系にストレスをかけてしまいます。コンビニに立ち寄ったときなどの短い時間ならばまだしも、週末しかクルマを乗らないかたなどは注意が必要です。
ちなみに、タイヤがもつ垂直方向の剛性(縦バネ)はだいたい250N/mm程度(平均的な225/55R17サイズの場合)、サスペンションのブッシュは2000~3000N/mmと、タイヤのゴムの方が桁違いに柔らかく、タイヤはわりと早い段階でダメージを受けてしまいます。
タイヤのトレッドにできたフラットスポットやくぼみは、次にクルマを動かしたときに、周期的な振動を発生することがあります。数kmほど走れば解消されますが、毎回車止めに押しあてて止めているとダメージが蓄積されていきます。
クルマ止めがある場合は、一度クルマ止めにゆっくり当てたあと、少しだけ前進(または後退)して、クルマ止めから離すようにしておけば、タイヤにかかる負荷を軽減することができます。
やっぱり「急操作」はNG!!
「急」がつく操作、具体的には、急ブレーキ・急発進・急ハンドルは、場所を選んで走らせる分には、楽しいものですが、クルマにとっては大きなストレスになります。
急な操作は、タイヤやサスペンション、ステアリング機構、車体など、自動車のあらゆる部分へ、瞬間的に大きな荷重がかかります。クルマはそこそこの大入力を入れても簡単には壊れないよう、安全率を高めにした強度設計がされており、急操作は、そこまでの大入力にはならないはずですが、部品のへたりや摩耗は普通に使うよりも早まってしまいます。
自動車メーカーでは、あらゆる耐久走行試験を念入りに行っており、サスペンションやエンジン、タイヤ、ステアリング系、駆動系、ボディ等の劣化具合を調べています。真夏の炎天下での連続走行や、真冬の氷点下でのコールドスタート、中には、車止めに低速でぶつける強度試験といった強烈なテストもあります。
そのため、「急操作をしたら壊れる」ということはありませんが、急操作が劣化を早めることは頭に入れておく必要があります。
また、クルマは走らせずに長期間止めておくのもよくありません。どんなクルマでも、ディーラーや整備工場で、定期的なメンテナンスやチェックを受けることが長持ちの秘訣です。