日本自動車販売協会連合会(自販連)が発表している2020年11月の販売台数ランキングで、過去にトップ10入りしていたこともあった日産「セレナ」が減速し14位、2020年に投入し受注状況は悪くない「キックス」も15位と振るわない状態となっていた。
2020年12月23日に新型発売を控えているためノートは販売台数が落ちているが、軽自動車をのぞく残りの車種がいまいち冴えない……と感じている人も多いのではないだろうか?
日産は日本市場も大切にしていくと方針は語っているが、消費者が求めるものが揃っていない状態で、空回りしているように見えることは否めない状況だ。日産の国内戦略は苦戦しているのか? また商品戦略、日本に対する姿勢と今国内市場で求められているもの何か? 考察していきたい。
文/御堀直嗣
写真/NISSAN、編集部
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■日産は本当に苦戦している? ライバル他社と比べた国内市場の現在地
日産自動車は、国内販売で苦戦をしているのだろうか?
私は、そう思わない。そして、躍進はこれからだと思う。
日産が苦戦していると思う根拠はどこにあるのだろうか。2020年11月の新車販売台数の統計を見ると、ミニバンの「セレナ」が14位、2020年新発売となったSUV(スポーツ多目的車)の「キックス」が15位で、いずれもベスト10に入っていないため心配になるようだ。
しかしその販売台数は、セレナが4433台で、キックスは4292台であり、新車販売の分岐点といわれる2000台を超えている。ちなみに、新車販売の50位ともなればその台数は3桁となる。
競合と比較してみると、トヨタ「ヴォクシー」は10位で6860台、「ノア」は13位で4448台だ。少なくともセレナはノアの次に位置している。
ちなみに、2020年4~9月の半年間での販売台数を調べると、セレナは10位で3万135台であるのに対し、ヴォクシーは11位で2万9020台、ノアは16位で1万9863台であり、セレナが上回っているのである。付け加えれば、ホンダの「ステップワゴン」は19位で1万5612台に止まり、セレナの約半分だ。
11月だけを見れば物足りない印象を覚えるのかもしれない。だが、5ナンバーミニバンの全体的な販売動向を知れば、競合他車含め近い台数での競り合いであり、セレナだけが後塵を拝しているわけではない。
キックスの競合となるトヨタ「C-HR」は24位で2222台、ホンダ「ヴェゼル」は25位で2177台であるから、11月のキックスの4292台は、その2倍近くを売っていることになる。
またキックスは、2020年6月末からの発売の折、当初の3週間で9000台を超える受注を得て、生産が追い付かないという状況があった。それをいま年内納車へ向けて取り返しているところだ。もちろん、競合のC-HRやヴェゼルは発売開始から4~7年を経た車種ではあるが、キックスが新登場であるにもかかわらず競争で大きく負けているという話ではないだろう。
キックスの月販目標は3000台であり、そこを上回ってもいる。そして発売から10年を経ていた「ジューク」があまりにも古いとはいえ、キックスが登場するまで50位にも入っていなかったのである。
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