2020年11月に開催された広州モーターショーで、東風ホンダ(ホンダと東風汽車の中国合弁会社)が『M-NV』という新型電気自動車を発表し、大いに注目されている。問い合わせも多数来ているそうな。
今や電気自動車など当たり前の中国で、なぜM-NVなんだろうか? このクルマの面白さは、中国ブランドの電気自動車を除き、236~252万円という驚くほど安い価格を付けてきたことだ。
以下、なぜ安いのか理由を説明するけれど、M-NVが採用しているリチウム電池を日本でも搭載してきたら、ハイブリッド車より安い価格を付けられることだろう。さらに補助金も受けられるとなったら、エネルギーコストを含め圧倒的に安価になります。M-NVは日本の自動車の常識を変える存在になるかもしれない。その注目のモデルについて詳しく紹介したい。
文/国沢光宏
写真/Dongfeng-Honda
電動化加速で日本上陸もあり得る!? 東風ホンダから発表された新型SUV『M-NV』の全貌
■信頼性は日本基準 価格はEVとして驚くべき設定!
クルマに限らず中国において日本ブランドが信用されている。中国ブランドは、いろんな意味で玉石混交。なかでも不安を抱くのは信頼性&耐久性だという。日本ブランドは壊れ難いし、壊れてもキチンとしたアフターサービスを受けられる。中国ブランドは、テスラと同じくディーラーがないケースも多く、トラブル出た時に困ることも。
加えてM-NVの価格とスペックは中国の電気自動車補助金の対象になっており、実質的にガソリンエンジン車と同じくらいの価格で購入可能。中国も日本と同じくガソリン代より電気料金のほうが安いため、総合して考えれば電気自動車はトクなのだった。さらに壊れず信頼性高いとなったら売れて当然かもしれません。
驚くべきは航続距離。ホンダの発表データによればフル充電で480km走れるという。電池容量こそ未公開ながら、走行100kmあたりの電力消費量は13.7kWhとのこと。この数値から推算すると65.76kWhという日産「リーフe+」の62kWh以上の電池を搭載していることになる。電池搭載量からすれば236万円は超格安といってよい。
なぜ安い価格設定が実現できたのか? どうやらCATL(寧徳時代新能源科技)製の電池を搭載しているようだ。CATLは中国最大のリチウムイオン電池メーカーで、ホンダも出資している。ここにきて大幅な性能向上と価格低減に成功したと言われており、M-NVは安価な新世代リチウム電池を搭載していると考えていいんじゃなかろうか。
車両価格を120万円と考えたら、電池代が120万円。65kWh搭載しているとなれば、1kWhあたり2万円ということ。現在「ホンダe」が搭載しているパナソニック製のリチウム電池の3分の1くらいの価格ということになる。1kWh=2万円が実現すれば、もはやハイブリッド車より電気自動車のほうが車両価格+エネルギー価格の合計で安くなる!
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