暖機運転は、CO2排出量を増やすことに
自動車メーカーが「暖機運転は必要ない」とする背景には、部品の精度向上以外にも、こんな理由があります。
独立行政法人の環境再生保全機構が、出発前の暖機運転有無により、NOx、PM、CO2の排出量に与える影響を調査しました。試験車はガソリン車2台、ディーゼル車2台。いずれも12時間エンジンを停止した後に、暖機運転を行った場合と行わなかった場合で、走り出してから停止するまでの走行時間と速度での排出量を比較。
その結果、ガソリン車、ディーゼル車それぞれで「どの車種においても、暖機運転を行わない方がNOx、PM、CO2の排出量は低減する」ことが判明。大気汚染物質の排出量は、ガソリン車のCO2は約6%低減。ディーゼル車では、NOxが約9%、PMが約8%、CO2が約14%も低減しました。
走行する過程で、エンジン制御によって適切な排ガス処理が行われているため、「暖機無しの方が、燃費が良い」という結果になったと考えられます。また、「5分間暖機運転をするとガソリンを約0.16L消費する」という結果も得られました。
環境性能に厳しくなっている近年のクルマにおいて、「CO2排出量の削減≒燃費」の数値は、0.1km/Lでも下げたいところ。それなのに、暖機運転でCO2排出量が増えたり、クルマが1ミリも移動せず貴重なガソリンを消費するなんて、自動車メーカーとしては、我慢ならないことです。
試験車両の台数が少ないため、どのクルマでも必ずこうなるとはいえませんが、暖機運転は、長くなればCO2排出量を増やしてしまうことになる、と頭に入れておいたほうがよさそうです。
ひと呼吸するくらいでOK
前述したように、エンジンへの機械的なダメージ回避は、自動車メーカー側で念入りに対策がなされていますので、我々は特に気にする必要がありません。
それよりも「ドライバーの暖機運転」のほうが重要。寒さで身体が縮まったドライバーによる運転操作ミスの方が、よっぽどリスクが高いと思います。クルマを始動させて、ひと呼吸して心と体を整えてから、丁寧に運転を開始すれば、ちょうど良いのはないか、と考えます。
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