■消えゆく宮型霊柩車の事情
光岡専務に昨今の霊柩車事情を伺うと、昔、葬儀でよく見かけた日本独自の華やかな宮型霊柩車は、現存数は600台以下ではないかという。
縮小の原因は、単に製造維持コスト高ではなく、火葬場が宮型霊柩車の使用を禁じているケースが多いため。一目で霊柩車とわかる姿が、地域住民に受け入れられず、そのような措置が取られているようなのだ。
自身も最後はお世話になる霊柩車を嫌うのは、複雑な気持ちにもなるが、日々の生活で人の死を意識しなければならいのも辛いのも確かだ。ただ近年、海外で宮型霊柩車を葬儀に利用するケースも増えており、海の向こうで第2の人生を送る車両もあると聞く。
新しい時代に合わせた独自の霊柩車を世に送り出しているのは、少ないがこだわりの強い顧客を相手にしてきた光岡自動車の乗用車開発のノウハウも反映されているのだろう。霊柩車の車両の在り方や簡素化が進むことは、人生最後の舞台となる葬儀の在り方に時代の変化を間接的に感じさせるものでもあった。
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