ハリアーのお薦めグレードは?
ハリアーのグレード選びにも触れたい。車両の性格を考えるとハイブリッドを推奨する。NAエンジンの排気量は2Lで、実用的な加速性能に不満はないものの、上級SUVのハリアーとしては物足りないからだ。
その点でハイブリッドは、排気量が2.5Lでモーター駆動も併用するから、加速時に余裕を感じる。走りが滑らかでノイズも小さい。駆動方式は用途に応じて選べばよい。シティ派SUVだから、前輪駆動の2WDでも車両の性格と食い違うことはない。
グレードはハイブリッドG(400万円/2WD)を推奨したい。
ハイブリッドS(358万円/2WD)でも実用的には満足できるが、ハイブリッドGにはアダプティブハイビームシステム(ハイビーム状態を保ちながら対向車などの眩惑を抑える機能)、運転席の電動調節機能、リアゲートの電動開閉機能、液晶表示のルームミラーなどが標準装着される。
ハイブリッドGの価格は、ハイブリッドSに比べて42万円高いが、ニーズの高い装備が加わる。
ちなみにハイブリッドGの価格は、NAエンジンのG(341万円)よりも59万円高いが、購入時に納める環境性能割や自動車重量税が非課税になる。この金額を差し引くと、実質差額は49万円だ。
そこでレギュラーガソリン価格が140円/L、実用燃費がWLTCモード数値とすれば、1km当たりの走行単価はハイブリッドが6.3円、NAエンジンは9.1円だ(いずれも2WD)。
燃料代の節約で実質差額の49万円を取り戻すには、17~18万kmを走らねばならない。つまり純粋な損得勘定では、NAエンジンがお得だが、車両の性格にはハイブリッドが合っている。購入時には両タイプを乗り比べて判断したい。
■1.8Lターボのフォレスターターボと比較するとどうか?
ハリアーのライバル車として、スバルフォレスタースポーツ(328万9000円)が挙げられる。スポーツは2020年10月のマイナーチェンジで追加されたグレードで、エンジンは水平対向4気筒1.8Lターボを搭載する。
性能を含めて新型レヴォーグと共通だ。実用回転域の駆動力に余裕があり、3LのNAエンジンと同等の動力性能を発揮する。
先代フォレスターには、2Lターボが割安な価格で用意され(消費税を10%に換算すると約319万円)、新型のスポーツは1.8Lターボだから、動力性能は2Lターボを下まわる。
それでもスポーツには、ドライバーの運転状態を検知するドライバーモニタリングシステムなどが標準装着される。
サスペンションには、専用のスプリングやショックアブソーバーを採用した。安全面を中心に装備を充実させたことも考えると、価格は割安だ。
このCB18型は1795ccで最高出力は177ps/5200-5500rpm、最大トルクは30.6kgm/1600-3600rpm。リニアトロニックCVTと組み合わされる。
アイドリングからちょっとアクセルを踏み込めば、スッとトルクが立ち上がり、特に2000~4000rpmあたりは3L、NAのようなリニアなトルク感を味わえる。
ハイブリッドのe-BOXERを搭載するアドバンス(315万7000円)に比べると、ほぼ同じ装備内容で、スポーツの価格上昇を13万2000円に抑えた。WLTCモード燃費は、e-BOXERのアドバンスが14.0km/L、スポーツは13.6km/Lだ。
スポーツは1.8Lターボで動力性能を高めながら、燃費数値もe-BOXERとあまり変わらない。SUVでスポーティな走りを楽しみたいユーザーにとって、フォレスタースポーツは選ぶ価値は高い。
このスポーツと比べるなら、ハリアーは2L、NAエンジンの2WD・G(341万円)になる。価格は同程度で、走行性能は4WDの採用も含めてフォレスターが勝る。
その代わりにハリアーは、内外装が豪華で後席も少し広い。フォレスターも空間効率は優れているが、4名乗車時の快適性で選ぶならハリアーだ。
つまりハリアーは、Lサイズの上級SUVであると同時に、フォレスターなどのミドルクラスとも重複する商品に仕上げた。そこにも幅広いユーザーから注目される人気車の秘訣がある。
少し上級で清潔感もあり、品行方正で、好感を持たれる実用性を兼ね備えた商品。ハリアーには、かつてのマークIIに似た商品特性も感じられ、息の長いヒット商品になりそうだ。
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