大ヒット中のハリアーHVの走りはフォレスターターボよりも上か?

大ヒット中のハリアーHVの走りはフォレスターターボよりも上か?

 2020年6月17日に発売したトヨタハリアーは、2020年の小型/普通車登録台数ランキングで順位を急上昇させた。

 2020年7月には9388台を登録して、フィットやアルファードを上まわる4位となり、8月6位(6231台)、9月5位(8979台)、10月6位(9674台)、11月4位(9897台)、そして直近の12月は4位(8218台)となっている。

 2020年下半期(7~12月)の登録台数は、1ヵ月平均で8716台に達した。売れ筋の価格帯が340万~450万円に達する高価格車だから、1ヵ月に8000台以上も売れれば相当な高人気だ。そこでハリアーの売れている理由と実力はいかなるものなのか?

 そして定評のある走りをみせるハリアーHVは、追加された待望のターボモデル、1.8Lターボのフォレスタースポーツと比べてどうなのか、モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が解説する。

文/渡辺陽一郎
写真/ベストカー編集部、ベストカーweb編集部、トヨタ、スバル

【画像ギャラリー】販売好調のハリアーとターボモデルを追加したフォレスターを比較


まずはハリアーの人気の理由を探る

直近の2020年12月の新車販売台数は総合4位、8128台(対前年同月比532.6%)と絶好調
直近の2020年12月の新車販売台数は総合4位、8128台(対前年同月比532.6%)と絶好調
2Lのガソリン仕様と2.5Lをベースとしたハイブリッドを設定。駆動方式はそれぞれ2WD(FF)と4WD(ハイブリッドは電気式4WD)から選択可能だ
2Lのガソリン仕様と2.5Lをベースとしたハイブリッドを設定。駆動方式はそれぞれ2WD(FF)と4WD(ハイブリッドは電気式4WD)から選択可能だ

 ハリアーの初代と2代目モデルは、レクサスRXの日本仕様だった。その後、2005年にレクサスが日本国内でも開業し、2009年には海外と同様のレクサスRXを国内でも発売している。

 ハリアーは廃止されるかと思ったが、根強い人気があり、レクサスRXとは別の国内向けのSUVとして登場した。内外装は日本のユーザーのセンスに合わせて上質に仕上げ、人気の高い上級SUVとなっている。

 そして2020年6月17日に、ハリアーは現行型へフルモデルチェンジした。先代型と同様、都会的な雰囲気の上級LサイズSUVで、全長は4740mm、全幅は1855mmだ。

 内外装の雰囲気は、先代型以上に質感を高めた。後席や荷室も広く、Lサイズワゴンのようにも使える。質感に加えて居住性や実用性も高い。

 エンジンとプラットフォームは、基本的にRAV4を踏襲している。エンジンは2L、直4と、2.5Lをベースにしたハイブリッドだ。プラットフォームは、TNGAの考え方に基づいたGA-Kと呼ばれるタイプを使う。

ハイブリッドは2WD車がWLTC走行モードで燃費で22.3km/Lを達成。動力性能と環境性能の両面ともに魅力だ
ハイブリッドは2WD車がWLTC走行モードで燃費で22.3km/Lを達成。動力性能と環境性能の両面ともに魅力だ

 衝突被害軽減ブレーキは、歩行者に加えて自転車も検知する。運転支援機能も含めて、2020年にフルモデルチェンジを受けた新型車だから先進性が伴う。

 今はSUVが人気のカテゴリーになったが、上級車種はあまり多くない。レクサスは上級でも価格が割高だ。機能や装備と価格のバランスを考えると、ハリアーのライバル車はCX-8やCR-Vだが、これらの車種は人気が高くない。そこで需要がハリアーに集中した事情もある。

 販売面も変化した。以前のハリアーはトヨペット店だけが扱ったが、2020年5月以降は状況が異なる。全国すべてのトヨタ系販売店で、トヨタの全車を購入可能になったからだ(レクサスを除く)。

 プリウスやアクアのように、以前から全店が扱っていた車種もあるが、ハリアーはトヨペット店のみだったから、取り扱い店舗数が従来の約900店舗から約4600店舗に急増した。販路の拡張もあって売れ行きを伸ばし、2020年の登録台数を対前年比で見ると約1.8倍、7月以降は2~5倍だ。

 ハリアーが急増する一方で、プリウスやアクアの登録台数は、前年に比べて40%以上減った。クラウンも40%近いマイナスになる。

 姉妹車同士でも明暗が分かれ、アルファードは2020年に年間9万748台を登録したが、ヴェルファイアは1万8004台だ。基本的に同じクルマなのに、売れ行きには5倍以上の差が付いた。12月(単月)には、販売格差が8倍に広がっている。

 このように全店が全車を扱うと、人気車と不人気車の差が開く。例えばクラウンの顧客がハリアーへの乗り替えを希望した場合、従来であれば、トヨタ店の顧客がトヨペット店に奪われてしまう。トヨタ店としては、各種のサービスを手厚くするなど、顧客を説得してクラウンに乗り替えてもらえるように努力した。

 しかし全店が全車を扱う今は、トヨタ店でもハリアーを販売できる。もはやクラウンに留まるよう強く説得する必要はない。そうなるとハリアーの登録台数が伸びてクラウンは下がる。その結果、クラウンをSUVに変更する話まで飛び出した。

ハリアーハイブリッドの4WD(E-Four)。外観はSUVらしい力強さとエレガントな雰囲気を巧みに両立している
ハリアーハイブリッドの4WD(E-Four)。外観はSUVらしい力強さとエレガントな雰囲気を巧みに両立している

 以上のようにハリアーは、フルモデルチェンジによる車種自体の魅力向上と、トヨタの全店が全車を売る販売体制への移行により、売れ行きを急増させた。

 そのために納期も長く、トヨタの販売店は「2021年1月に契約した場合、納車はNAエンジン車でも5~6月、ハイブリッドになると9~10月まで伸びる。もともとハリアーは人気が高く、全店が全車を扱う体制になった影響もあり、需要が一層増えて納期も長引いている」とコメントした。

 ハリアーの販売比率を見ると、NAエンジン車が63%を占める。ハイブリッドは37%と少ないが、納期はNAエンジン車よりも長く、半年以上を要する。

 納期が伸びた一番の理由は、登録台数が示す通りハリアーの需要が急増したためだが、ほかにも考えられる。半導体の供給不足だ。販売店では「コロナ禍の影響もあり、海外からの半導体の供給が滞っている。

 車両の生産に不都合がなくても、ディーラーオプションのカーナビやETCユニットを装着できない場合が生じている。納期は今後、さらに長く延びる可能性がある」という。

 ほかのメーカーについても、車両の減産が報じられており、納期に影響を与え始めた。つまり人気車のハリアーは、需要の増加と半導体の不足という、2つの理由で納期が延びる心配が生じている。

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