日本海側を中心に、この冬は降雪量が例年を上回るほど多く、高速道路での立ち往生など積雪によるハプニングも増えている。ひと晩で降り積もる雪の量も相当なもので、朝の通勤時には自宅やカーポート付近、クルマに積もった雪を除雪してからの出発となる。これは結構な手間がかかる上に寒さに耐えながらの作業は辛いものだ。
トラックやバスなどの屋根など高くて大き過ぎるヤツはともかく、乗用車の雪はドライバーひとりで除雪できないほどの作業ではないハズ。しかし、クルマに積もった雪を完全に除雪せずに走っているクルマを見かけることは、珍しくはない。
首都圏でけっこうな積雪があると、視界を確保するために窓部分だけ除雪して、あとは放っておいても溶けるからと、クルマに乗り込み走り出してしまうドライバーを見かけることもある。通勤や買い物など目的は違えど、時短を図ろうというのは、忙しい現代人の生活ぶりを表していると言えるのではないだろうか。
けれども雪を載せたままのクルマを走らせることは、実は決して褒められた行為ではない。それどころかデメリットはあるし、さまざまな危険性をはらんでいるのだ。
文/高根英幸
写真/Adobe Stock(Philipimage@Adobe Stock)
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■雪載せ車にあるデメリットとは
まずはデメリットについて考えてみよう。雪を載せたまま走行することで、自分のクルマにどんなデメリットが生じるだろうか。
誰でもすぐに想像できるのは、重量増による燃費の低下だろう。だがそれは承知の上で、少々の燃費悪化よりも寒い中で冷たい雪を取り除くことを避けたい、あるいは単純に急いでいるから、除雪せずにクルマを走らせているのではないか。実際、重量増での燃費悪化は1日だけで見れば大した費用負担にはならないだろうから、忙しい時にはそうした判断をするドライバーもいるのは理解できる。
もうひとつのデメリットは、ルーフ上に冷たい雪を載せ続けていることによりボディが冷却されることで、室内も冷やされ続けるから暖房が効きにくいことだ。頭寒足熱で頭を冷やしてスッキリさせるからいい、なんて思う人もいるかもしれないが、実際には冷気が室内に流れ込み続けるのは、暖房の無駄につながる。
最近のクルマは燃費性能を高めるために、エンジンや変速機の油温を早く暖めることにも冷却水の熱を利用するので、暖房に冷却水の熱を使い過ぎるとファーストアイドル(アイドリングの回転を上昇させて早く暖める)の時間が長くなったり、エアコンの使用時間が増えて燃費低下につながる可能性もある。こちらのほうが重量増よりも燃費を悪化させる影響力は大きいかもしれない。
そしてルーフの雪が滑り落ちてくることで塗装面に傷が付くことを想像するかもしれないが、ボディとの接触面は水の膜があるため、滑り落ちることでボディが傷つくようなことはほとんどない。
しかし、続いて考えるリスクについては、そんなに軽く考えるのは、ちょっと危険だ。
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