トヨタのコンパクトSUVであるヤリスクロスとライズが、2020年11月の登録実績で共に月販1万台を突破し、同ジャンルでの1位、2位を分け合っている。
ヤリスクロスの販売台数は「ヤリス(ハッチバック版とGRヤリスを含む数字)」にまとめられるので一括りになるが、2020年1~12月の累計販売台数でも、1位ヤリス151,766台、2位ライズ126,038と、ワンツーフィニッシュという結果となった。
どちらも大ヒットしているトヨタのSUV、これ、販売現場では「どっちを売ったほうがいいか」と競合になっているのではないか?
トヨタの営業マンは本音のところ、(ダイハツのOEM車である)ライズはそれほど売りたくない…なんてことを考えたりしないのか? でもそんな心境で「年間販売台数2位」なんて数字は達成できるのか??
こうした販売現場の現状を、毎日ディーラーに通って情報収集を重ねる流通ジャーナリストの遠藤徹氏に伺った。
文/遠藤徹、写真/トヨタ、池之平昌信
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ライズとヤリスクロスの売れ行き事情
今回、首都圏トヨタディーラー数店舗に取材し、何人かの営業マンに本音を聞いてみた。営業マンの心情としても、ヤリスクロスはトヨタ製のオリジナルモデルで、ライズは子会社であるダイハツからのOEM供給車だという意識はあるらしい。
販売店としてはユーザーの好みに応じて販売しているが、本音としては「どちらにするか迷っているユーザーに対しては、ヤリスクロスを勧めがちになる」といった傾向があるようだ。
ただ両モデルを比較すると価格、パワーユニット、使い勝手に多少の違いがあるので、これらの説明をしながら、どちらを選ぶかを決めてもらうようにしているのが実情のようである。
ライズは車両本体価格が167万9000~228万2200円でエンジンは1Lターボを搭載している。これに対してヤリスクロスは179万8000~258万4000円で1.5ⅬガソリンNAと同ハイブリッドを積んでいる。価格差は11万9000~30万1800円となっている。
売れ筋は両モデルとも最上級グレードの「Z」であり、2WDで比較するとヤリスクロス1.5LガソリンNAで15万円、ハイブリッドは52万4000円高となる。
ボディサイズはヤリスクロスの方がひと回り大きく、クオリティも上なので、このあたりが「どちらを選ぶか」の分かれ道になっている。
ヤリスクロスのハイブリッドを選ぶ場合、ライズとの差は最上級グレードでも50万円以上だから、クラスが違い、選ぶのは好みや収入次第であり、どちらにするかを考える必要はないと思われる。
ライズの発売は2019年11月5日に対してヤリスクロスは2020年8月31日である。ライズは発売後1年2カ月が経過しているが、ヤリスクロスは4ヶ月半しか経過していない。それでも両モデルが販売実績で肩を並べているのは、先に発売したライズのほうが多少、貢献度合いが高いともいえる。
ただ12月下旬現在の納期はライズが2ヶ月待ちの2月下旬なのに対してヤリスクロスはガソリンNAが5ヶ月待ちの5月中旬、ハイブリッドは7ケ月待ちの7月中旬であり、ヤリスクロスの方がより多くのバックオーダーを抱えていることが伺える。
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