C-HRの存続の危機か
ヤリスクロスとライズが同じコンパクトSUVなのに競合せずにどちらもヒットモデルになっているのは、車格の違いともいえる。
ライズとヤリスクロス1.5LガソリンNAとでは価格帯がかなり重なっているが、車格、使い勝手、クオリティはヤリスクロスのほうが上位だから、どちらを選ぶかを悩むユーザーは(自動車専門メディアが「共食いだ!」と騒ぐほどには)いないようだ。
ヤリスクロスの登場で強い影響を受けているのは、C-HRである。こちらの価格帯は238万2000~314万5000円であり、ヤリスクロスハイブリッドと重なる。
ボディサイズが大きく、エンジンは1.2リッターターボ、1.8Lハイブリッドだから、車格はC-HRのほうが上なのだが、リヤのルーフが低いクーペスタイルだから、リヤ席や荷室スペースが狭い。
このためレジャービークルとして使うのは難点があるので、この点を重視するユーザーはヤリスクロスに流れるケースが多くなっている。
C-HRの2020年11月の登録台数は2222台で、前年同月比56.4%減と半減している。12月は2,185台で前年比61.1%、年間累計だと33,676台で60.5%だった。
首都圏のカローラ店の営業マンによると、
「ヤリスクロスの発売以降、C-HRは極端に売れ行きが悪くなっている。C-HRはモデルが古くなっているのと、背が低めで荷室の狭いSUVのトレンドが廃れつつ証になっている。もしかすると次のモデルの存在はなく、カローラクロスの発売時に生産中止になってしまうかも知れない」
とコメントしている。
両車の売れ筋モデルの見積もりはいかに
首都圏にあるネッツとカローラ店でヤリスクロスとライズの売れ筋モデルで見積もりを取ってみた。
ヤリスクロスはFF、ハイブリッドZホワイトパール(車両本体価格258万4000)にステアリングヒーター、ハンズフリーパワードア、パノラビックビューモニター、盗難防止ナンバーフレーム、前後ドライブレコーダー、プレミアムコーティング、フロアマット、サイドバイザー、ETC、T-コネクトナビキット、CD・DVDデッキなど45万円強のオプション&付属品、法定、法定外費用を含めて弾いて貰うと総支払額345万円強と出た。初回の値引き提示額は15万円とかなり強気だ。
ライズはFF、Z(車両本体価格206万円)に有料色のシャイニングホワイトパール、ブラインドスポットモニター、盗難防止機能付きナンバーフレームセット、フロアマット、サイドバイザー、プレミアムコーティング、ETC、9インチナビなど52万円強のオプション&付属品を付けて弾いて貰うと、法定、法定外費用を含めて288万円強となっている。初回交渉での値引き提示額は20万円で、発売当初よりも5万円程度拡大している。
■証言:1首都圏ネッツ店営業担当者
ヤリスクロスとライズのどちらを選ぶかで迷っているお客さんに対しては、トヨタのオリジナルモデルであるヤリスクロスのほうを勧めるようにしている。もちろん基本的にはお客さんの好みに任せるようにしているけれど。
ヤリスクロスは5ドアハッチバックのヤリスがベースだから、乗り味はヤリスに共通しているので、基本的には街乗りのクロスオーバータイプといえる。
ライズはラフロード走行でも可能なように最低地上高を185mmとヤリスクロスの170mmよりも15mm引き上げている。したがって遊びグルマとしてのコンセプトも重視しているお客さん向けには、こうした説明の仕方をしている。
■証言:2首都圏カローラ店営業担当者
ライズとヤリスクロスはあまり競合するケースはない。お客さんの好みで選び分けがされている状況にある。それよりヤリスクロスはC-HRを食っている状況にある。
ボディサイズはヤリスクロスの方が小さく、クラスは下だが、後席や荷室はヤリスクロスのほうが広く、使い勝手がよいのでこちらに乗り替えるケースが多くなっている。
コメント
コメントの使い方