■勝手に期待され、勝手にがっかりされ…!? MDX短命の背景
北米市場ではまずまずの人気を博し、初代の後を受けて2代目以降のモデルも製造販売されたMDXが、日本ではパッとしないまま終わった理由。
それは、「やはり当時の感覚としては大きすぎた」ということと、サイズ的に大きいことから自動的に連想されてしまう「プレミアム感」がやや足りなかった――ということなのでしょう。
前述したホンダ MDXの全長4790mm×全幅1955mm×全高1820mmというサイズは、2021年の今でこそ「現行型のランドクルーザーよりはむしろ小さいね」「全幅は現行型のメルセデス・ベンツ Gクラスと似たようなものだね」ぐらいの感覚でとらえることもできます。
しかし今から20年近く前の2003年においては、このサイズはあまりにも巨大に感じられ、実際以上に「扱いづらそう……」とのイメージを持たれてしまいました(そして実際、日本の道路ではやや扱いづらいサイズでもありました)。
しかしそれでも、トヨタ ハリアーぐらいのサイズのSUVを“卒業”し、「もっとでっかくてバーンッと豪華なSUVに乗り替えたい(でも輸入車は好きじゃない)」という人は、いつの時代も一定数いるものです。
ホンダ MDXは、そういった一部ユーザーの受け皿になり得る存在でしたし、ホンダもおそらくはそういった層を仮想ユーザーとして、アキュラ MDXの輸入計画を進行させたのでしょう。
しかしMDXは――もちろんぜんぜん悪くはないのですが、「バーンッと豪華!」みたいなニュアンスのインテリアや装備レベルではありませんでした。
MDXの質感や豪華さは、北米で「中の上」ぐらいの生活を送っている人にとってちょうどいいもので、それはそれで正解であったため、北米市場では普通に好調に売れました。
しかし日本では、その圧倒的なサイズ感から「内装の質感とか装備も圧倒的なんだろうな!」みたいな期待をされてしまいました。
でもMDXはそこまで「超豪華!」というキャラではなかったため、「なんだよ、期待はずれだな……」とがっかりされてしまったのです。
MDXとしては勝手に期待され、そして勝手にがっかりされて、たまったものではなかったかもしれません。
しかしいずれにせよそういった流れで、ホンダ MDXは日本における短い生涯を終えたのです。
■ホンダ MDX 主要諸元
・全長×全幅×全高:4790mm×1955mm×1820mm
・ホイールベース:2700mm
・車重:2030kg
・エンジン:V型6気筒SOHC、3471cc
・最高出力:260ps/5800rpm
・最大トルク:35.2kgm/3500rpm
・燃費:7.8km/L(10・15モード)
・価格:485万円(2003年式 エクスクルーシブ)
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