■スマートキーの電池寿命で動作が不安定になることも
もうひとつの大きな原因は、スマートキーの電池が弱ってきていることで電波も弱く、クルマ側でキーの存在が確認できなくなってしまうこと。クルマによってはスマートキーの電池寿命を警告してくれるのだが、それに気付かずに使い続けてしまうドライバーもいるようだ。
スマートキーで、アウタードアハンドルのスイッチやハンドル自体をタッチすればドアのロック/アンロックをできるクルマならトランクにキーを閉じ込んでも解錠できるのだが、電池の状態によってはドアハンドルにタッチしても反応しなくなってしまうのである。
ロードサービスを呼べばドアの解錠や電池交換なども行なってくれるから、到着を待っていればロードサービス隊員が解決してくれる。しかしそれはサービスではなく、自分のうっかりミスのフォローだ。
見方を変えれば、年間15万件のキー閉じ込みトラブルのうち、何割かはロードサービスで救援しなくても自己解決できた部類のモノが存在するハズだ。
スマートキーを持っているのにクルマが反応しない場合、スマートキー側の電池切れであれば、スマートキーには万一リモコンドアロックが作動しない時のために物理キーが内蔵されている。それを鍵穴(ドアハンドル部ではないところにある車種も多い)に挿してドアを開け、スターターボタンの隣にスマートキーを置けば、電池切れでもエンジンは始動できる。
こういった対処法は取り扱い説明書などに記載されているが、ぶ厚い取説は目をとおす気になれず、助手席のグローブボックスやトランクなどにしまい込んだまま、というドライバーも少なくない。
このような無知ゆえの救援要請は、スペアタイヤやパンク修理キットがあっても、交換や修理の方法がわからずにロードサービスを呼んで、パンク修理をしてもらうのと同じ部類のものといえる。クルマは壊れにくくなったことで、ドライバーがメンテナンスしたりメカニズムを理解する必要性は少なくなったから、こうした以前はドライバー自身で解決できるようなトラブルでもロードサービス頼りになってしまうドライバーが増えているのだ。
■キー閉じ込みのトラブルをどうやって防ぐか
スマートキーは大きくてゴツいモノもあるが、身に付けている習慣を付けることだ。バッグなどに入れたままでも使えるのは便利だが、前述のようにトランクだけを開けてバッグをしまっておく際に、バッグと一緒に閉じ込んでしまうハプニングを起こしやすくなる。男性ならばズボンのポケットに入れておく、あるいはカラビナなどでベルトループに装着するような習慣をつければ、こうした心配はなくなる。
またスマートキーの電池は定期的に交換することも、ドアのアンロック不能を防ぐ対策になる。秋葉原などにある電子部品を売っている専門店では、海外ブランドのボタン電池を安く(10個150円~)購入することもできるが、スマートキーの場合、電池の寿命にバラつきがあるような品質では安心して使うことはできないから、安すぎる電池を使うのも避けたほうがいいだろう。
スマートキー導入以前のクルマは、ステアリングコラムのイグニッションスイッチにキーを挿し、ひねってセルモーターを回すのが、エンジン始動の儀式だった。それがキーが近くにあればスターターボタンを押すだけで、エンジンを始動してくれる、ドアロックもキーを持っていれば近付いたり離れたりするだけあるいはドアノブに触るだけでロック/アンロックをしてくれるようになるなど、キーの存在意義が昔とは変わってきている。
身に付けてさえいればいい反面、リモコンスイッチとしてキー本体が大きく重くなったのは、携帯性が悪くなったのは否めない。
こういったうっかりミスは、起こすドライバーと起こさないドライバーに別れるものだが、今まではキー閉じ込みなどしたことがないような人でも、今後は加齢によりミスを起こさないとも限らないから注意したい。
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