■2代目MR2はよりスポーティに進化!
エクステリアは、全長を220mm、ホイールベースも80mm延ばしている。FFセリカのような柔らかい面構成となり、伸びやかなフォルムとなった。だが、リトラクタブル・ヘッドライトはMR2のアイコンとして受け継いだ。
ドライバーの背後に積まれるエンジンは、セリカなどと同じ3S-GE系の2L直列4気筒DOHCだ。自然吸気エンジンのほか、ツインエントリー・セラミックターボの3S-GTE型が用意されていた。サスペンションは4輪ともストラットのままだが、タイヤは前後異サイズとしている。
だが、初期モデルはピーキーなハンドリングで、挙動も荒々しかった。そこで1991年12月にシャシーやサスペンションに手を加え、タイヤを15インチにするとともにブレーキも強化する。GT系にはビルシュタイン製のダンパーやビスカスLSDが装備され、トラクションコントロールも用意したのだ。
1993年秋と1997年12月にはエンジンをパワーアップするなど、マイナーチェンジのたびに魅力を増していった。だが、ユーザーの関心はスポーツカーからホットハッチや4WDターボのスポーツセダンへと移っていき、MR2の販売は落ち込んでいったのである。
■オープン2シーターの『MR-S』にモデルチェンジ
そこで気負うことなく気持ちいい走りを満喫できた初代MR2に原点回帰することにした。ライトウエイト・スポーツの初心に戻り、ダイエットに努めカタログで目立つスペックにすることもやめている。
過剰なパワーよりも操る楽しさを考えて新たな一歩を踏み出したのが、『MR-S』だ。1997年秋の東京モーターショーに参考出品し、感触がよかったから手直しして、1999年10月に市販に踏み切った。MR2はクーペボディだったが、MR-Sはオープンの2シーターモデルだ。
パワーユニットはVVT-iを組み込んだ1.8Lの1ZZ-FE型 直列4気筒DOHCが選ばれた。レギュラーガソリン仕様で、140ps/17.4kgmのスペックである。トランスミッションは5速MTだ。それほどパワフルではないが、気持ちよく回るから変速するのが楽しかった。
登場から1年後には、時代の先端を行く電子制御シーケンシャル5速MTを設定している。これは日本で初めての画期的なクラッチペダルレスのセミATだ。AT免許で運転でき、エンジンの回転数もコンピュータが自動的に合わせてくれるから、ビギナーでも上手に変速することができる。
■ハンドリングはオン・ザ・レール感覚
ハンドリングも一級だ。1トンを切る軽量ボディにミッドシップだから、オン・ザ・レールの気持ちいいハンドリングを楽しませてくれた。MR2のようにスリリングじゃなかった。特にサスペンションに改良を加え、タイヤもサイズアップした後期モデルはオープンカーとは思えないほど剛性が高く、コントロール性に磨きがかけられていた。
2002年にはMT車を含め、すべて6速仕様にグレードアップされている。ヘリカル式LSDも用意されたから、安心感があり、意のままの走りを楽しめた。
だが、21世紀になってもスポーツカー市場は低迷し、多くの名ブランドが生産を打ち切っている。MR-Sも特別仕様車のVエディション・ファイナルバージョンを送り出し、2007年7月をもって生産終了となった。走らせて楽しいMR-Sは消滅したが、その後もMR-Sをベースにしたハイブリッド・スポーツなどが製作されている。
退屈なハイブリッド車の汚名を返上し、明るい未来を提案するために、新世代のMR2やMR-Sが誕生することを期待したいものだ。
コメント
コメントの使い方