実はヤリスより売れている! ライズがここまで大ヒットとなったワケとは!?

■ハイブリッドの設定もないのになぜ人気!? ライズがここまで求められた理由とは!?

 選択肢の少ないライズがたくさん売れる理由は、今の人気車に求められる複数の要素を備えているからだ。まずは人気カテゴリーのSUVであること。小型/普通乗用車に占めるSUVの比率は、2000年頃は約7%だったが、今は25%に達する。ミニバンと同等かそれ以上だ。

 しかもライズは5ナンバー車になる。販売の好調なトヨタ『ヤリス』、ホンダ『フィット』、日産『ノート』、トヨタ『ルーミー』、トヨタ『シエンタ』なども5ナンバー車だが、SUVでは少数派だ。コンパクトなトヨタ『ヤリスクロス』を含めて、全幅の広い3ナンバー車が圧倒的に多い。5ナンバーサイズのSUVは、ライズの姉妹車になるダイハツ『ロッキー』、スズキ『クロスビー』、スズキ『ジムニーシエラ』、スズキ『イグニス』程度だ。つまりライズは、人気の高いSUVと5ナンバー車の要素を併せ持つ貴重な車種だから売れ行きを伸ばした。

 フロントマスクなどの外観に、SUVの原点回帰を感じさせることも人気の秘訣だ。今のSUVは、トヨタ『ランドクルーザー』のような少数の悪路向けを除くと、大多数が乗用車と同じ前輪駆動のプラットフォームを使うシティ派に属する。このタイプは床が低く車内は広く、乗降性、居住性、舗装路における走行安定性、乗り心地などが優れている。しかも他車と共通の機能も多いから価格を抑えやすい。悪路向けSUVの走破性能を求めるユーザーが少ないこともあり、シティ派が増えた。

本格的なクロスカントリー4WDの『ランドクルーザー』。2021年9月に、新型の「300系」へとフルモデルチェンジする予定
本格的なクロスカントリー4WDの『ランドクルーザー』。2021年9月に、新型の「300系」へとフルモデルチェンジする予定

 当然の成り行きだが、シティ派が膨大に増えると物足りない印象も生じてくる。悪路向けSUVのランドクルーザーに見られるような野性味も欲しい。そこでLサイズSUVではトヨタ『RAV4』が大ヒットした。エンジンやプラットフォームは基本的にトヨタ『ハリアー』と共通で、前輪駆動ベースのシティ派SUVに含まれるが、外観は悪路向けの雰囲気だ。前輪駆動ベースの4WDを備えたSUVでは悪路走破力も高く、ユーザーの共感を呼んだ。

カムリと同じGA-Kプラットフォームを持つ『RAV4』。悪路走破性の高い2Lガソリン4WDモデルと、動力性能が高い2.5Lハイブリッドモデルを擁する
カムリと同じGA-Kプラットフォームを持つ『RAV4』。悪路走破性の高い2Lガソリン4WDモデルと、動力性能が高い2.5Lハイブリッドモデルを擁する

 ライズは悪路走破力を高める特別な機能を採用していないが、グリルの開口部が大きなフロントマスクなど、RAV4に似た印象も受ける。最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)も185mmを確保したから、悪路のデコボコも乗り越えやすい。このSUVの実用性に裏付けられた外観も人気の秘訣だ。

 全長が4m以下の5ナンバー車だから、最小回転半径も4.9m(「Z」グレードは5m)に収まり、狭い裏道や駐車場でも運転しやすい。運転席に座るとボンネットが視野に入り、ボディの先端や車幅もよくわかる。外観が水平基調だから、側方や後方の視界も優れている。着座位置は適度で、前後のピラー(柱)を立てたから乗り降りもしやすい。

 ボディがコンパクトだから、後席の足元空間と荷室はあまり広くないが、全高はSUVとあって1620mmに達する。従って大人4名の乗車は十分に可能だ。以上のような特徴により、ライズは買い物など日常的な機能も優れ、ヤリスやフィットのようなコンパクトカーとしても便利に使える。

 トヨタの販売店にライズが好調に売れる理由を尋ねると、以下のように返答された。

 「ライズはSUVでも運転しやすいので、コンパクトカーから乗り替える女性のお客様も多いです。ヤリスなどに比べると視線が少し高く、適度に見晴らしが利くことも魅力でしょう。エンジンは1Lターボなので、動力性能に余裕があり、活発に走ることも特徴です」

 このようにライズは、コンパクトカーと同様に運転しやすく、SUVの特徴とされる高めの着座位置も、視界や乗降性を向上させている。ターボエンジンの搭載も、SUVのパワフルなイメージを盛り上げる。実用回転域の駆動力を考えると、ヤリスクロスのように1.5Lノーマルエンジンのほうが運転しやすいが、ターボであればスポーティな雰囲気が強まる。そこがライズの人気に結び付いた。

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