■なぜ120km/h化で大型車のマナーが急激に向上した?
なぜ大型トラックのマナーが急激に向上したのか?
理由は、全線6車線化によって、マナーを守る余裕が生まれたからだ。
以前の6車線と4車線の混在時は、6車線区間でも、第1走行車線(一番左の車線)の利用率はかなり低かった。
なぜなら、第一走行車線は頻繁に消滅する。そのたびに右隣りに車線変更する必要があり、機敏な動きができない大型トラックのドライバーにとっては、できれば使いたくない車線だったからだ。
それが、今回の拡幅で145キロ全線が6車線化され、安心して第一走行車線を走れるようになった。よって、第1走行車線を走る大型トラックが大幅に増加。第2走行車線に余裕が生まれ、玉突き的に追越車線がほぼ乗用車専用になった。
NEXCO中日本によると、完全6車線化前は、それぞれの車線の<大型車両の混在率>と<平均速度>は、次のようなものだった。
完全6車線化後、この数字がどうなったかは発表されていないが、追越車線の大型車混在率は、1ケタ%にまで減少したと推測される。
■平均所要時間も短縮
ナビタイムジャパンの発表によると、6車線化後、御殿場―浜松いなさ間の乗用車の平均所要時間は4分短縮したという。わずかのように思えるが、これはすべての乗用車が120km/hで走ろうとはしていないことが原因。私の実走時は、ほぼ120km/hをキープすることが可能だった。
それでいて、安全性も大幅に向上した。追越車線に出てくる大型トラックの数が激減したからだ。乗用車側にすれば、急減速が必要な機会が激減し、そのぶん飛躍的に安全性が高まったと感じられる。
■新東名に続いて「120km/h」化をにらむ新名神の現状
このように、いいことづくめの6車線化&最高速度120km/hへの引き上げだが、政府は、大型トラックの無人隊列走行やダブル連結トラックの導入もにらみ、新東名・新名神の全線6車線化調査を進めている。
今回実現した御殿場―浜松いなさ間に続くのは、現在6車線に拡幅工事中の新名神・亀山西―大津間だ。これは2021年度中にも完成し、おそらく最高速度も120km/hに引き上げられるだろう。
また、2023年度に開通予定の大津―城陽間および八幡京田辺―高槻間(ともに新名神)は、工事途中で6車線構造に変更されたため、開通時から6車線となる。
しかし、それ以外の区間は、トンネルや橋梁を含め構造物を4車線で建設したため、6車線化には多大な費用と時間がかかり、道のりは遠い。
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