■OEタイヤだからと侮るべからず! その特別さを解剖
だいぶ昔の話になりますが、ブリヂストン『ポテンザRE86』という名作OEタイヤがありました。たくさんのスポーツカーやスポーティカーに採用されていました。このタイヤ、ボクが知る限りコンパウンドが11種類ありました。もっとあったのではないかと思います。当然タイヤの構造もチューニングされていたはずです。
クルマはそれぞれにサスペンション形式が違い、駆動方式が異なり、重量が違います。またメーカーが狙ったクルマのキャラクターもあるわけです。そうしたクルマの個性にマッチングするようにタイヤ性能をタイヤメーカーにオーダーしているのです。
欧州のメーカーだとタイヤのモデルチェンジサイクルと、自動車メーカーの新型車開発に合わせて、タイヤの開発も行います。
少し前になりますが、ホンダ『シビックタイプR』とコンチネンタル『スポーツ・コンタクト6』が共同開発していました。このタイヤを履いてシビックタイプRは、当時のニュルブルクリンクFF市販車最速の座を手に入れたのでした。
ちなみに、こうして作られた新型タイヤがリプレース(市販)タイヤとして売られる場合は、さまざまなクルマに合うようにチューニングされるのです。また新型タイヤをベースに、新たに別の新型車とのマッチングを図るということもあるそうです。
以前VW『ゴルフ』に、コンチネンタル『スポーツ・コンタクト5』、ミシュラン『パイロットスポーツ4』、グッドイヤー『イーグルF1』、といったタイヤを履き比べたことがあるのですが、その時驚いたのは、標準装着のピレリ『P7』が上記タイヤと比べても見劣りしない絶妙のマッチングを見せたことです。
タイヤのカテゴリーでは比較タイヤよりも純正のほうが一格下なので、ライバルタイヤはそれぞれによさや魅力を感じることができたのですが、クルマとのマッチングの点でP7がよく、チューニングの巧みさに感心したのでした。
フォルクスワーゲンはタイヤに認証マークを付けていませんが専用の部品番号があり、ディーラーでオーダーすると手に入れることができます。
もちろんすべてのクルマの純正タイヤが市販タイヤよりいいというわけではありません。特に最近はカタログ表示する燃費性能も重視されるため、車種によらず転がり抵抗要件も純正装着タイヤの内容に盛り込まれているようです。特にコンパクトカーやファミリーカークラスでは燃費のよさも大切な性能なので、転がり抵抗を重視したタイヤが装着されていることも少なくありません。
安価なクルマは、タイヤにコストがかけられないため、車種によっては転がり抵抗を重視したタイヤが装着されているケースがあり、こうしたタイヤは相対的にウエットグリップが弱いということも考えられます。
逆に、走りや乗り心地にこだわりを持ったミドルからプレミアムクラスのクルマだと、その性能を引きだすためにタイヤもチューニングされているといえます。
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