■日産6代目パルサーセリエVZ-R N1
・1.6L 4気筒エンジン[SR16VE](リッターあたり125馬力)
・最高出力:200ps/7800rpm、最大トルク:18.5kgm/7600rpm
1995年登場の6代目パルサーは全体的に存在感の薄さが否めないモデルだった。そのテコ入れもあり、1997年のマイナーチェンジでは1.8Lと2Lが基本だった4気筒のSR型エンジンをよりスポーツ性を高めた1.6Lに変更。
この1.6Lエンジン はNEO VVL(リフト機構も含む可変バルブタイミング機構)を加えたSR16VE型で、このエンジンを搭載するスポーツモデルのVZ-Rが設定された。
175馬力/16.5kgmというスペックのSR16VE型を搭載した標準のVZ-Rは当時のシビックでいえばSiRに相当するモデルだったのだが、パルサーVZ-Rには限定200台ながら当時の初代シビックタイプRをターゲットとしたVZ-R N1も設定された。
なお、このVZ-R N1は、市販車に近いレースであるスーパー耐久レース参戦のベースモデルという使命も担っていた。
VZ-R N1はオーテックジャパンが手掛けたモデルで、クランクシャフトやフライホイールのバランス取り、ポート研磨などのチューニングにより200馬力にパワーアップされたエンジンを搭載。そのほか、エンジンの高回転化によりパワーバンドが狭くなったことに対応するためにクロスミッションを装備した。
VZ-R N1はサスペンションなどにはそれほど手が加えられなかったため、ノーマル仕様での速さは初代シビックタイプRに及ばなかったものの、スーパー耐久では初代シビックタイプR相手に善戦した。
なお、VZ-R N1は翌1998年に各部の改良を受けたバージョンIIに進化し、300台限定で販売された。
■ホンダ初代インテグラタイプR
・1.8L 4気筒エンジン[B18C 96 spec.R](リッターあたり111馬力)
・最高出力:200ps/8000rpm、18.5kgm/7500rpm
クイントインテグラも含めると3代目モデルとなるインテグラが、1995年にマイナーチェンジした際に加わったハイパフォーマンスモデルがタイプR。1992年に登場した初代NSX-Rと同じコンセプト、スピリッツで開発された「みんなのNSX-R」的な存在である。
タイプR化の手法はインテグラタイプRもNSX-R同様で、動力性能の向上、サスペンションと車体の強化、軽量化といった具合だ。
エンジンに関してはインテグラSiRに搭載され、評価の高かったVTECが付く1.8L直4エンジンのB18C型(180馬力/17.8kgm)に、圧縮比アップ、手作業でのポート研磨、吸排気系の変更などを施したもので、最高出力は200馬力に向上。
またSiRに対しギア比もクロスレシオ化され(トラクションを高めるヘリカルLSD付)、もともとの1.8Lという排気量によるパワーバンドの広さに加え、VTECが高速カムへと変わる高回転域での爆発的なパワーも得た。
車体はボディ剛性を強化しながら、メルシート(フロアカーペット下に付く防音材)の廃止などにより約40kg軽量化された。
またサスペンションもSiRに対し車高を15mmダウンするなど強化。FFながらコーナーではグイグイとノーズが入り、アクセル操作による挙動変化も起こしやすいという鋭い切れ味と楽しさを持つ、駆動方式を超越したレーシングカーのようなハンドリングに仕上がった。
さらに、初代インテグラタイプRはインテリアもレカロシートやモモのステアリングの装着などによりレーシーな雰囲気とされたのに加え、キーも専用デザインとされ、所有する喜びも備えていた。
結果、初代インテグラタイプRはサーキットのラップタイムでは2Lターボ車並の速さを得ながら、価格はエアコン付で240万円程度と内容を考えれば激安だったこともあって人気車となった。そしてこの人気で殺到する注文に対応するため前述したポート研磨は機械化(性能は手作業と変わらない)されたほどだった。
初代インテグラタイプRは1998年のマイナーチェンジで98スペックとなり、絶対的な速さは前期型とそれほど変わらないものの、サーキットの連続走行の際などの持久力などが向上した。
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