3月は多くの自動車ディーラーが決算を直前に控え、販売に力を入れる時期だ。ユーザーは、希望のクルマが好条件で買える可能性が高い。この時期を逃さずに、良い商談をしていきたいものだ。
皆さんは、好条件を引き出すために商談で、あの手この手とやりすぎてはいないだろうか。行き過ぎた交渉は、時間と労力がかかるだけでなく、狙った好条件も出にくくなる。
本稿では、元自動車ディーラー営業マンの筆者が、今やるべき商談の仕方や、好条件を出すコツ、ディーラーで嫌がられる&好かれる人の特徴などを解説する。
文/佐々木亘 写真/編集部、Adobe Stock
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■値引きの大小で車を買う“だけ”のユーザーは嫌われる!?
今の自動車ディーラーは、ファンづくりに熱心だ。人口当たりの自動車保有台数が頭打ちになり、限られたユーザーを販売店同士が奪い合っている。お店や営業マンを、家族や知人に紹介してくれるファンをつくることは、今後、販売店にとっての最重要課題となるだろう。
どんなことをしても、絶対にファンにならない人を販売店は嫌う。値引きの大小だけで、購入するかどうかを決め、購入後に一度も点検整備に入らない顧客がファンになる可能性は極めて低い。目先の販売台数よりも、中長期的な戦略を販売店は練っており、単発の取引は避けられる傾向にある。
ただし、ユーザーにとっても、闇雲に好きになれというのは難しい。何を好きになるか、ファンの側が選ぶ権利はある。お店や営業マンのファンになれるかは、ユーザーも判断するべきだ。皆さんには、好きな芸能人やスポーツチームを探す感覚で、お店や営業マンを選んでほしい。
現代の商談は、交渉という要素が少なくなってきているように感じる。「ファンからのお願い事」というスタンスが、好条件を引き出す鍵だ。商談では、自分が熱いファンだということを、アピールしていくといいだろう。
■値引きを引き出す交渉は「営業マンに託す」が吉?
購入条件の良し悪しを考える際、指標となるのが「値引き」だ。近年では、レクサスに代表されるワンプライス販売や、新型車は値引きゼロを突き通すなど、少しずつ値引きの存在は薄くなってきてはいるが、まだまだ無視できるものではない。
ところで、値引きは「ガイドライン」と「役付者決裁(店長決済)」の2段階に分かれていることが多い。
ガイドラインとは、車両本体価格やオプション等を、あらかじめ何%まで値引いていいかを販売店の本部が決めたものだ。営業マンは、この範囲内に収まるように、商談を進めていく。
購入者は、このガイドライン以上の値引きを引き出そうと商談に臨むわけだが、ガイドライン以上の値引きには、上席の承認が必要になる。店長決済は、顧客が直接店長に頼んで引き出すものではないところに難しさがある。引き出す交渉をするのは、あなたの目の前にいる営業マンだ。
決済を引き出すために、営業マンを店長の元へ、ただ送り出せばいいわけではない。交渉には、気持ちと武器が必要になる。
重要なのは、店長との戦いに送り出す営業マンを「この人に買ってもらいたいから、店長と交渉してくるぞ」という気持ちにさせることだ。そして営業マンには、店長との交渉に使える武器を持たせる。その武器とは「契約」そのものである。
今、好条件に必要なのは、営業マンと敵対しない姿勢だ。営業マンとユーザーは、「売りたいけど」「安く買いたいけど」という、お互いの「困った」を救い合う同志になればいい。店長が握る解決策を、顧客と営業マンが協力して引き出せたとき、好条件の商談が成立する。
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