新車の購入から点検や修理などで一番接することが多いディーラーのセールスマン。
かつては作れば端から新車が売れていたバブル時代などもあったが、現在は働き方も変わり、それに加えて新型コロナウイルス感染症の影響もある。
現代のディーラーセールマンの事情に迫る。
文/小林敦志
写真/AdobeStock(show999、voyata、Paylessimages、Shutter2U、takasu、sunftaka77)
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■時代とともに変わるセールスマン像
新車販売のスタイルは近年大きく変化している。新型コロナウイルス感染拡大前から、若い世代を中心に「自宅に来るのは困る」というひとも多くなり、よほどの“馴染み客”ではない限りは、訪問活動はまずできなくなった。
“ニューノーマル”といっていい、いまどきの既納客への代替え(乗り換え)促進活動は、定期点検などのメンテナンスを受ける時だ。
メンテナンス時は、お客が店頭に当該車両を持ち込むのが大原則となっているので、店頭で点検などが終わるのを待っている間に、「新車はいかがですか?」と、担当セールスマンが販売促進活動を行うスタイルが有効とされている。
「お客様も暇を持て余しておられますので、意外なほどお話を聞いていただけます」とは現場のセールスマン。
かつては「就職希望するディーラーのメーカー車に乗りたい」などが志望動機としてはほとんどとなる、“クルマ好き”が新人セールスマンの大半であった。
いまは“大手自動車メーカーの看板を掲げている”と安定感を重視して入社してくるケースが目立ち、特段クルマに興味を持っているという新人は稀のようである(運転免許すら持っていないこともあるとか)。
いまどきの若者らしく、指示した仕事はそつなくこなすが、自分から進んで何かをやろうというのは苦手な新人が多いそうだ。
前出のセールスマンは「この仕事は座学で覚えることは限られます。あとは先輩セールスマンの商売のやりかたを“盗んだり”、積極的に先輩に質問したりして仕事を覚えながら、自分ならでは商売のスタイルを確立していくことになります。いまどきの若いひとにはあまりこの仕事は向いていないように見えます」とのこと。
それでも先輩セールスマンが指導役としてつくことになるのだが、「セクハラだ、パワハラだと訴えられるのが嫌だ」と引き受けるセールスマンがいなくて、所長(店長)が渋々引き受けることもあるようだ。新人セールスマンは文字どおり“腫れ物”となっている。
ただ、なかには“役員も夢ではないな”と思うほど、一目で人間的にも優秀と思える新人もいるそうだ。「学校でというよりは、家庭など育ってきた環境のちがいにより、いまの若者の優劣はかなり開きがあるように感じました」(前出セールスマン)。
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