事故だけでなく、あおり運転などの交通トラブルの際にも証拠として有用であることがわかっているドライブレコーダー。
保険会社でもドライブレコーダーとセットにした保険を販売するなどしているし、調査では装着している車両ほど安全意識も高まる傾向があることがわかっている。そうなると、自動車メーカーのほうで標準装備させてもいいような気がするものだ。
しかし、トヨタ『ハリアー』で「前後方向録画機能(ドライブレコーダーとは言っていない)」が付いたデジタルインナーミラーを採用しているくらいで、メーカーとしてあまり積極的に普及をさせようという感じは見受けられない。
エアバッグやABSのように標準装備が進まないのはナゼなのか? そのワケを考察していきたい。
文/国沢光宏
写真/Adobe Stock(waranyu@Adobe Stock)、編集部
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■交通事故の検証に革新をもたらしたドラレコ!
今やドライブレコーダーは必須の装備と考えていいだろう。
例えば自分の進行する方向の信号が青。交差する道路の信号は赤だったとする。赤信号を無視して進行してきた車両と衝突した場合、当然ながら赤信号側に100%の過失あります。けれど赤信号側が「自分の信号は青だった」と主張されると、双方証拠を用意しなければならない。
ドライブレコーダーなしであれば、周囲の目撃情報や衝突形態で判定するしかありません。赤信号側の車両の側面に青信号側の車両が衝突しており、しかも目撃証言なしだと、「回避できただろう」となり青信号の方も過失ゼロにならない。最終的には「交差点に進入するときは注意すべきでしょう」と言われ、過失ありにされちゃう。
はたまた目の前に真横から自転車が飛び出してきて衝突したような事故も、ドライブレコーダー無しだと明確な状況不明。お互い水掛け論になったら、裁判所としても曖昧な判定をせざるを得ない。こういったケース、自転車に責任あっても自賠責保険を使える。だったら弱者救済のため、クルマ側の過失を多く課しておこうということに。
ここまで読んでわかるとおり、まぁデタラメです。ドライブレコーダーがなかった時代、事故に至る過失割合じゃなく、ゴネたヤツや警察の心証いい方、強い保険会社をバックに付けている人の優勢でした。しかし! ドライブレコーダーの出現で事故処理は根本的に変化したといってよかろう。悪い奴がしっかり悪いと認められるようになってます。
クルマの前に飛び出してくれば、自転車や歩行者であっても100%の過失が認められるようになり、信号のある交差点だって青信号なら過失なし! 自分のバックに権力のある人や組織がなくても、正当な「裁き」を受けられるようになった。少なくとも事故処理についていえば、ドライブレコーダーあれば不利にならない。
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