■日産と三菱は給電能力を生かして各地域と協力している
日産と三菱自はここから、EVが排出ガスゼロを実現する単なる環境車ではなく、暮らしに不可欠な電力という安心を届ける電源になることを理解し、その普及に努めてきたのである。
日産は現在、ブルースイッチという取り組みを推進している。
これは、EVが持つ潜在能力、環境性能(排出ガスゼロや静粛性)、蓄電機能による移動式電源、何処でも充電できガソリン(水素などエネルギー)スタンドが不用という特徴を活かした地域の防災・減災、環境保全、再生可能エネルギーの活用、また観光や過疎対策などで連携する活動だ。
すでに100以上の地域との連携をはじめている。
三菱自も、電動ドライブステーションの取り組みを開始しており、販売店に太陽光発電を設置し、そこからの電力活用の様子を紹介している。
そして三菱自も、全国100の自治体と災害時に被災地へ電動車を速やかに送り届ける協定を結んでいる。
■EVやPHVはどれだけの給電能力をもっている?
では、実際の災害時、停電になった時にどれほどの給電能力を備えているのだろうか。
日産リーフには現在2種類のバッテリー容量があり、ひとつは40kWh(キロ・ワット・アワー)、もうひとつが62kWhだ。
これらに満充電されているとして、家庭で使われる電力量は年平均で一日約18kWhとされるので、2~3日は普段通りの生活を続けられることになる。
ただし家庭での消費電力は季節によって変動し、空調などが不要になる春や秋には半分ほどに減る。その時期には、4~6日の電力を賄える計算だ。
また、災害時に電気を必要最小限に節約して使えばさらに長持ちさせることができるだろう。ちなみに日産では、3~4日はリーフから電気を利用できるとしている。
ホンダ初のEVであるホンダeも、V2Hなどへの対応を行っている。ただし、バッテリー容量が35.5kWhとなるので、リーフよりは電力供給性能は落ちる。
三菱自では、現在はアウトランダーPHEVやエクリプスクロスPHEVの販売が主力で、EVのi-MiEVは販売台数が限られる。
PHEVの場合、車載バッテリーの容量はEVに比べ少なく13.8kWhなので1日分程度だが、発電用エンジンを利用したチャージモードを使うと10日ほど電力を供給できる能力を持つという。
ただし、エンジンを稼働させる際には、一酸化炭素中毒にならないよう換気への配慮が不可欠だ。
EVやPHEVからの災害時の給電については、自宅にV2Hの設備を設けていない場合でも、移動式の変換器を急速充電口につなげば、そこから電気を取り出すことができる。
これを利用し、家庭電化製品だけでなく、医療に必要な機材を運転することも可能だ。
トヨタも、PHVや燃料電池車(FCV)から災害時に給電できるようにしはじめている。
ヴィークルパワーコネクターという装備を開発し、PHVの普通充電口から最大1500Wまでの電化製品を利用できるとする。
新型MIRAIでは、燃料電池スタックに急速充電用と同じ外部給電口を設け、直流電気を取り出せるようにし、最大9kWhの電力供給ができる。
また非常時給電機能付きアクセサリーコンセントが2つあり、ここから最大1500Wの電気を取り出せる。
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