■EV、PHEV、FCVは暮らしを守るためにも役立つ
自然災害は、世界的な問題だ。
通常であれば冬でも半袖で暮らせる日もあるという米国テキサス州で2月に寒波が押し寄せ、気温がマイナスとなって電気が止まるだけでなく、寒さに対する防御がなされていない水道が破裂するなど、惨事となった。家具を燃やして暖をとったという話も伝わる。
国内では、2018年に北海道で起きた胆振東部地震の折、札幌市近郊に住むアウトランダーPHEVの所有者が、1500W用の車内コンセントから電気を取り出し水洗トイレを流すのに使ったという。
断水はしていなかったが、電気がないとトイレを流せなかったのだ。また洗濯機を動かし、炊飯器で温かいご飯を食べることもできた。
3日目に電気が復旧した時、まだガソリンは半分ほど残っていたという。「なんとかなるという気持ちの支えになった」と、その体験談を話している。
2019年に千葉県に大停電を起こした台風15号の災害では、53台のリーフが千葉県へ提供され、自治体や福祉施設、保育園、コンビニエンスストアなどへの電力支援を行った。
そして熱中症対策のための扇風機や、スマートフォンへの充電、給水所の夜間照明など、さまざまに電気が利用された。
過去に経験したことのないような自然災害によって社会基盤が崩壊する恐れは、どの地域に住んでいても他人事でない時代になった。
災害に見舞われた時、普段どおりに過ごすのは難しくても、温かな食事や飲み物が手に入ったり、湯を沸かして体を拭いたりできるだけでも、復旧への活力が生まれる。
EVやPHEV、あるいはFCVは、走行中の排出ガスをゼロにできるだけでなく、停車中に暮らしを守ることにも役立つ。
ライフ・サイクル・アセスメント(LCA)などで製品の優劣をはかるだけでなく、暮らしや社会に密着した貢献という目で、次世代車の行方を見定めていかなければならない。
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