■クルマのパンク対策 どうするべきか
「クルマに何かあった時にはロードサービス頼り」という考えも否定はしないが、何かあった時には自分でも対応できないと、ロードサービスの到着をひたすら待ち続けるしかないということになる。
スマホがあれば全国どこへでも呼べば来てくれると思いがちだが、電波環境の悪い部分で立ち往生してしまうと非常に困ることになるし、出動状況によってはロードサービスも到着までかなり待たされる羽目になることもある。
パンクに対しては、事前に準備することで自分で対応できる場合も少なくない。完全に空気が抜ける前に気付けば、ガソリンスタンドやカー用品店でもパンク修理は行なってもらえるし、DIYのパンク修理キットも販売されている。
本来はタイヤをホイールから外して、内側からパッチを当てて補修しなければならないが、タイヤの状態によっては外からチップを圧入する応急修理でも、十分対応できる。
スペアタイヤを搭載できるクルマは、後からでも購入して積んでおくほうがいい。車載工具のジャッキは使いにくいモノも多いので、小さな油圧ジャッキをクルマに積んでおくのもパンク対策には有効だ。もちろんリハーサルとしてタイヤ交換を練習しておいたほうがいい。
ほとんどのクルマの場合、純正タイヤよりも細身で軽量な非常用のテンパータイヤを搭載することになると思うが、これは本当にパンクやバーストなどのトラブル時に使うだけのモノで、単に積んでいるだけでは劣化していくし、ゴム製のエアバルブも同様に硬化してヒビ割れてしまう。
標準タイヤと同じサイズ、同じホイールならタイヤのローテーションに利用することができるが、テンパータイヤは応急用タイヤなので、日常的には使えない。保管状態にもよるが、搭載から7、8年経過したら、タイヤの状態をディーラーやタイヤ専門点で点検してもらうことだ。
また路肩付近を走らないことも、パンクを防ぐには大事なことだ。
高速道路でも一般道でも、様々な落下物やゴミが存在する。大きなゴミや落下物は自治体やNEXCOのパトロールカーが撤去することになるが、ガラスの破片や釘やネジといった小さくも危険な落下物は、クルマが走行するごとに路肩へと弾き飛ばされていく。
何も考えずに左側へと寄ってしまう癖があるようなドライバーは、こうした危険物を踏んでしまう可能性が高い。わだちができるような部分、走行車線の中央部分を走るようにすることが大事だ。
つまり、タイヤに対して、ちょっとした気遣いが、大きなトラブルを防いでくれる道なのである。
■TPMSを後付けすることでパンクの早期発見を
TPMS(タイヤ空気圧監視システム)はそもそも、パンクしても走行可能なランフラットタイヤが、空気圧が下がったりパンクしても、ドライバーが気付きにくいことから採用が進んだシステムだが、普通のタイヤを履いたクルマに装備してもパンク時の早期発見から、修理をスムーズに行なうことにつながりやすい。
ABSやESCなどの制御に利用しているホイール回転センサーの回転差から、タイヤの空気圧減少を推定する簡易的なシステムを搭載している車種も増えている。これは新たなセンサーの追加などが必要ないのだから、ほとんどの車種に採用してほしい装備だ。
またTPMSは、後付けできるアクセサリーとしても販売されている。バルブキャップをセンサー付きのモノに交換し、ダッシュボードにモニターを置くことで、走行中に四輪の空気圧や温度が把握できるのだ。
しかし安い製品は精度や信頼性などにもバラつきがあるようだし、日本の電波法に合致していることを示す技適マークが付いていないものは、電波の出力が高く違法になる可能性もあるので注意したい。
またセンサー装着によりホイールバランスが狂ってしまうこともあるので、もし装着後に高速道路で振動などを感じたらホイールバランスを取り直すことも大事だ。
TPMSを装着することのメリットは、パンクの早期発見だけではない。冷間時の空気圧から、走行中にどこまで空気圧が高まるか把握できる。眼から入ってきた情報と、乗り味の感触を一致させていくことで、自分の感覚を高めることができるのだ。
それによって乗り心地が微妙に変化していくことも、掴みとれるようになる。乗り味の変化に気が付けば、パンクにも自分で気付きやすくなる。TPMSはパンク予防になるだけでなく、ドライバーの感性を磨き、パンク以外にも走行中のトラブルをより防ぐことにつながるのだ。
洗車時などにはタイヤのトレッド面などをザッと眺めて、釘やネジ、針金などの異物が刺さっていないか、確認することも大事だ。
異物が刺さったままなら、パンクしていても空気があまり抜けないケースは多い。空気圧だけの管理だけではパンクトラブルを防げないことを覚えておいてほしい。繰り返すが、タイヤは命にかかわる大事なものなのだから、普段から気遣ってほしいと切に思う。
コメント
コメントの使い方