新型エクストレイルでさらに進化する!! 日産e-POWERのさらなる未来

■驚異の「熱効率50%」エンジン!!

次世代「e-POWER」発電専用エンジン
次世代「e-POWER」発電専用エンジン

 「熱効率」とは、発生させたエネルギーに対し、出力として取り出せる割合のこと。内燃機関は、効率があまりよくない。

 というのも、ガソリンを燃やして発生させたエネルギーは、そのほとんどが熱(損失)となってしまい、ピストンを押し返すエネルギー(仕事)は、発生させたエネルギーの半分も取り出せていない。

 自動車用ガソリンエンジンの平均的な最高熱効率は、30%台であり、40%台前半が限界とされていた。しかも最大熱効率は、最高出力付近で回した場合であり、エンジン全開で定常運転している条件となる。

 従来のエンジンだと、ドライバーのアクセル操作に応じて、さまざまなエンジン負荷をカバーする出力特性を持つ必要がある。そうしたなかで、効率を高めていくには、限界があった。

 今回、日産が発表したのは、エンジンの使用領域を最も効率のいいポイントに限定することで、エンジン燃焼を高効率化することを狙った技術だ。

 将来的には、バッテリー技術やエネルギーマネジメントの進化によって、エンジンの運転条件範囲を効率的な領域で使用し、完全な「定点運転」とすることでさらに熱効率を向上させる、という。

 技術の内容に触れると、本稿では収まらないため割愛するが、従来のエンジンでは、混合気の希釈レベルの制御には制約があり、筒内ガス流動や点火方法、圧縮比などにも、「動力をとるか、燃費をとるか」など、制約を受けていた。

 日産が熱効率50%を実現するために開発した新燃焼コンセプト「STARC(Strong Tumble & Appropriately streched Robust ignition Channel)燃焼」。

 筒内ガス流動(シリンダー内に吸入した混合気の流れ)や点火を強化し、より希釈された混合気を高圧縮比で確実に燃焼させることによって熱効率を向上させるという考え方だ。

 これは、エンジンが発電と駆動を兼ねるパラレルハイブリッド方式では採用しにくく、シリーズハイブリッドの「e-POWER」だからできる技術だ。

■2~3年以内にe-POWERは次のフェーズへ

スカイラインも次期型ではe-POWERを搭載する可能性がある
スカイラインも次期型ではe-POWERを搭載する可能性がある

 日産は2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、2030年代の早期には、主要市場に投入する新型車をすべて電動車両にする目標を掲げている。BEVと、エンジン発電のe-POWERを主軸に、この先を戦っていくのだろう。

 今回の「熱効率50%を狙ったエンジン燃焼技術」は、その実現のためには必要となる主要技術だ。本技術を公開できる状態に至ったということは、おそらく2~3年以内には、この技術を採用したパワートレーンが出てくることになるだろう。

 日産は、BセグメントからDセグメントまでを、排気量違いのe-POWERで統一してくるのでは!? と筆者は考えている。

 Dセグまで、となれば、アルティマやマキシマ、ムラーノ、そしてスカイラインまでもが入るカテゴリーだ。

 100%モーター駆動として、動力源をバッテリーとするか、エンジンとするか、セグメントごとに切り替える。ただちにエンジンが消えるわけではなく、エンジンの使い方を変えながら、CO2排出量の削減に努めていくのだろう。

 モデル更新がぱたりと止まったフーガが属するEセグメントについては、三菱のプラグインハイブリッドシステムの流用も想像していたが、テスラモデルS並のBEVとして存続させるくらいのサプライズを期待している。

【画像ギャラリー】熱効率50%エンジンの実用化も近い!? 本文未掲載カットを交えて日産e-POWERの明日を考える

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