BMWグループは3月17日に行った2021年年次総会で、MINIをフル電動自動車(EV)のブランドにすると明らかにした。
内燃機関を搭載した車種は2025年のリリースが最後となり、2030年代初期までにMINIをフルEVのブランドに変わるという。フルEVブランドは、BMWグループでは初めてで、ジャガーに続くフルEVブランドの誕生する。クラシックMINI時代から愛されていたMINIだが、BMWグループとなり、ついに内燃機関を手放すことになる。
なぜMINIだったのか? そしてフルEVブランドになって勝算はあるのか? について考察をしていきたい。
文/岡本幸一郎
写真/BMW MINI
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■内燃機関搭載の新車MINIが買えるのは2030年まで
BMWグループが2021年3月17日の年次総会において発表した中で、2030年代初頭にMINIをピュアEVブランドにする方針であると明らかにしたことに驚いた人は少なくないだろう。
件の発表によると、BMWグループでは内燃エンジン車の販売台数が徐々に低減するいっぽうで、ピュアEVの販売が2025年から2030年にかけて年ごとに平均20%を上回る勢いで増加していくと予想。今後の約10年で世界でおよそ1000万台のピュアEVを販売し、2030年にはその販売比率が50%を超えると見込んでおり、すべてのシリーズにピュアEVを用意する、としている。
MINIについてはさらに、早ければ内燃エンジン搭載車は2025年に導入するニューモデルが最後となり、2027年までにピュアEVの販売比率が50%を超え、2030初頭にはピュアEVモデルのみを販売する方針という。eモビリティの先駆けとして立ち上げたプロジェクト「BMW i」よりも先に、グループ初のピュアEVブランドとなるわけだ。
周囲を見渡すと、ジャガーもピュアEVブランドとなることを表明したばかり。何年か前に「電動化」を「EV専門」と誤解され、2025年までに世界販売の50%をEV、残りの50%をプラグインハイブリッド車にするという目標を掲げていたボルボも、2030年には本当にピュアEVブランドになるようだ。そういえば、MINIととかく比較されることの多いフィアット500も、新世代はピュアEVに生まれ変わっている
こうした状況になった背景にあるのは、欧州を中心に誰も予想しなかったほどのスピードで進む電動化があり、その要因はVWが犯したディーゼルゲート問題の反動と見てよい。ディーゼルもガソリンもひっくるめて、内燃エンジンは悪者で、EVこそ正義という極端な風潮が作り上げられてしまったからだ。
ただし、世の中がそうなったので自動車メーカーが急いでEV化を進めているというよりも、もともと大なり小なり考えていたことを実現する時期が早まったといほうがあてはまる。実際の話、BMWひいてはMINIも、早い段階でこうすることを視野に入れていたことがうかがえる。
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