■デビューから数年で車種を倍増させたミニ
ミニはBMWが商標を獲得し、2001年から発売しているモデル。日本にも2001年には上陸し、販売を開始している。日本でのミニの人気も高く、それまでのオールドミニのユーザー以外の新しいユーザーがBMWミニを購入した。
2003年のモデル別新車登録台数順位では早くも4位に名を連ねているのだ。
ミニの強味はバリエーションの多さ。デビュー当初は3ドアモデルだけだったが、2004年にはルーフが全開するコンバーチブルを追加した。
2006年にミニは2代目へと切りかわった。ここで一気にバリエーションが増えた。
ルーフをボディ後端まで伸ばした「クラブマン」。ボディサイズを大きくし、SUVの要素を盛りこんだ「クロスオーバー」(本国ではカントリーマン)、さらにルーフをチョップドルーフにした2人乗りの「クーペ」とそのオープン版の「ロードスター」も追加された。「クロスオーバー」をベースにした3ドアの「ペースマン」というモデルも登場した。
しかし、ここまで車種を増やしたミニだったが、2006年から2011年まではモデル別登録台数では3位をキープしたままだった。
■第3世代ミニが王者ゴルフを追い上げる
ミニが1位になった時に、その理由は、ボディバリエーションの多さ(ミニの「モデル別登録台数」と「ブランド別登録台数」は同数)、と分析した人たちは多かったが、当時は、VWゴルフも2/4ドアのほかにカブリオレやバリアント、さらにSUVのトゥーランもゴルフファミリーとして台数をカウントしていた。
必ずしもボディバリエーションによるネーミング統合での台数の多さだけが原因ではないようなのだ。
それでもミニは2014年の暦年登録台数順位で、2位に浮上した。しかし、この時1位ゴルフの登録台数は3万1410台。一方、ミニは1万7596台だったので、その差は約1万4000台もあった。
2013年、ミニは第3世代へと進化した。これがひとつのポイントでもあった。
新型のミニは従来からの3ドア、コンバーチブル、クラブマン、クロスオーバーに加え、5ドアが追加された。
2015年の年間登録台数は1位ゴルフが2万5635台に対し、ミニは2万1083台と追い上げた。この年に翌年の順位入れかえに大きくかかわる事件が、ドイツで発覚した。
■2015年のあの事件がゴルフ陥落の引き金だった
VWのディーゼル車排ガス規制逃れだ。当時のVW社トップ2人に損害賠償請求するという事態まで発展した。これによりVWは苦戦しはじめた。
そのタイミングを見計らっていたかは不明だが、翌2016年春に、BMWミニは1.2Lと2Lのディーゼルエンジンを日本に投入したのだ。
当時の日本ではマツダなどがディーゼルエンジンに力を入れはじめたほか、メルセデスベンツ、ボルボ、ジャガー、マセラティなど高級輸入車もディーゼル車を導入し、注目が高まっていた時期でもあった。その時に、比較的大衆車感のあるBMWミニがディーゼルを導入したのは、販売戦略上も大きかった。
ミニファミリーのディーゼル車は、さらに新しい顧客を獲得した。
2016年、ついにBMWミニはゴルフを抜き1位になった。その台数の差は約2000台だった。以来、BMWミニは1位を守り続けている。新型車こそ2013年以来ないものの、小改良はひんぱんに行なわれ、特別仕様車も季節ごとに投入するなど、ユーザーの心をはなさない販売戦略も巧を奏している。
一方、VWゴルフもようやく8世代目の新型ゴルフが日本に上陸することが決定した。すでに販売キャンペーンを開始し、1カ月で1000台の受注があった。新型はマイルドハイブリッド車を中心に構成されているので、エコ性能も充実している。
2020年の1位は2万195台でBMWミニ、2位は1万678台でメルセデスベンツAクラス、3位はわずか400台差でVWゴルフが入っている。
はたして、2021年の販売競争はどのモデルが制するのか、いまから楽しみだ。
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