■欧州で13年、日本では…約5年 短命の理由は「優れたデザイン」??
ヘッドランプが丸形になった1997年1月以降の世代は、正直ビミョーかと思います。
しかし角型ヘッドランプだった前期型はプレーンで嫌味のない、なかなか優れたデザインだったと思う日産 ミストラル。
それがなぜ、鳴かず飛ばずのまま短期間で「終了!」となったのでしょうか?
もちろんこれだけが理由ではないはずですが、主には、前述した「プレーンで嫌味のない、なかなか優れたデザイン」だったからこそ、ミストラルは短命に終わったと考えられます。
前項で述べたとおり、日産がわざわざスペインから7人乗りのテラノII(日本名:ミストラル)を輸入した理由は、当時人気を集めていたロングボディの7人乗り三菱パジェロや、同じく7人乗りのトヨタ ランドクルーザープラドなどに対抗するためでした。
で、そういったパジェロやプラドのトップグレードは、本格的で質実なオフローダーであるという部分に加えて「豪華で高級な感じである」という部分も、人気を集めた理由のひとつでした。
いやむしろ、本格オフローダーうんぬんではなく「豪華で高級な感じ」という部分こそが、人気を博した主たる理由だったのかもしれません。
しかし日産 ミストラルは「ヨーロッパの普通」といった部分こそが特徴の車だったため、とりわけみすぼらしくはなく、普通に十分な快適装備は付いていましたが、決して「高級な感じ」ではありませんでした。
欧州市場のメンタリティは「泥道を走るクロカン四駆に高級感なんて必要ないでしょ?」という感じのものだったのでしょうが、日本は違いました。
当時の多くのユーザーは「せっかくデカい車を買うなら、もっと高級感が伴ってないと……」と判断したのです。
今の時代に当てはめて言うなら、Lサイズミニバンはゴージャスであればあるほどよく売れる――みたいな感じでしょうか?
いずれにせよ日産 ミストラルは、シンプルで美しいデザインの車ではありましたが、あんまり売れませんでした。
でも仕方ありません。それが、当時の「民意」だったのです。
■日産 ミストラル 主要諸元
・全長×全幅×全高:4675mm×1755mm×1805mm
・ホイールベース:2650mm
・車重:1910kg
・エンジン:直列4気筒OHVディーゼルターボ、2663cc
・最高出力:100ps/4000rpm
・最大トルク:24.8kgm/2200rpm
・燃費:――
・価格:279万円(1994年式 タイプX)
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