好調に売れている車種には、多くのユーザーが購入して使っている実績がある。従って基本的に優れた商品と判断できる。
ただし、売れ行きの少ない車種が、機能や価格の割安感でも劣るとは決められない。優れた商品でありながら、販売力が低いために、売れ行きが乏しいこともあるからだ。そこで人気のカテゴリーについて、販売の1位と2位を比べたい。
※本文中の販売台数は、いずれも2020年1-12月の累計
文/渡辺陽一郎 写真/編集部、HONDA、SUBARU
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王者ヤリスに対する2番手フィットの評価は?
・1位:トヨタ ヤリス/10万4660台(ヤリスクロスを除く)
・2位:ホンダ フィット/9万8210台
コンパクトカーでは、1位はヤリスで2位はフィットだ。機能的にはフィットに優れた点が多い。前後左右ともに視界が良く、斜め後方が見にくいヤリスに比べて運転しやすい。
車内もフィットが広い。身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ半に達する。これはミドルサイズセダン並みの余裕だ。ヤリスは握りコブシ1つ少々だから、フィットに比べて窮屈に感じる。
フィットは燃料タンクを前席の下に搭載したから荷室も広い。後席の座面を持ち上げると、車内の中央に背の高い荷物を積むことも可能だ。
乗り心地もフィットが少し快適で、装備が同等のグレード同士で比べると、価格も少し割安に抑えている。
一方、ヤリスも魅力的で販売もコンパクトカーの1位だが、幅広い機能をチェックするとフィットの優位点が多い。
それなのにフィットが1位になれない理由として、商品については外観のデザインが挙げられる。フロントマスクは個性的で好みが分かれる。内装では2本スポークのステアリングホイールも同様だ。
販売面では店舗数が異なる。今のトヨタ車は全店が扱うから、ヤリスは全国の約4600店舗で購入できる。その点でホンダは約2150店舗だ。販売網は半分に留まる。
さらにホンダではN-BOXの売れ行きが絶好調で、国内の最多販売車種になっている。国内で売られるホンダ車の30%以上をN-BOXが占める。そうなるとフィットからN-BOXに乗り替えるユーザーも増えるので、売れ行きが伸び悩む。
N-BOXに偏った売れ方は、フィットに限らず、ほかのホンダ車を売る時の妨げになっている。ホンダにとって今後解決すべき重要な課題だ。
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