人気で負けても実力なら負けてない!? 2番手グルマの評価 4選

王者ルーミーに対するソリオの評価は?

2020年11月にデビューした現行型ソリオ。最新の2021年3月販売台数では、ソリオが6089台、一方のルーミーの販売台数は16504台
2020年11月にデビューした現行型ソリオ。最新の2021年3月販売台数では、ソリオが6089台、一方のルーミーの販売台数は16504台

・1位:トヨタ ルーミー/12万2833台(生産を終えたタンクを含む)
・2位:スズキ ソリオ/4万342台

 売れ行きはルーミー(2020年9月のマイナーチェンジで廃止された姉妹車のタンクを含む)の圧勝だ。2020年にはソリオの約3倍が登録された。現行ソリオは2020年11月の登場だから、実質的に先代型だが、それにしても販売格差は大きい。

 ただし商品力を比べると、ソリオが先代型の時点でも、ルーミーに勝るところが多かった。両車とも車内は広いが、後席の座り心地は、先代型、現行型ともにソリオが柔軟で快適だ。

 ルーミーは体がシートに沈みにくく、床と座面の間隔も足りないから、足を前方に投げ出す座り方になってしまう。

 走行性能では、ソリオは直列4気筒1.2Lエンジンを搭載してボディも軽いから、パワフルではないが不満も感じない。ルーミーは直列3気筒1Lだが、車両重量はソリオよりも重く1トンを超える。

 ルーミーは登坂路でパワー不足に陥りやすく、3気筒特有のノイズも大きい。パワー不足を補うためにターボも設定したが、これも実用回転域でノイズが拡大する。走行安定性と乗り心地もソリオが優れている。

 このようにルーミーの商品力がソリオを下まわった理由は、大急ぎで開発したからだ。2014年には軽自動車の販売が急増して、新車販売台数の41%を占めた。

 小型車から軽自動車への乗り替えも急速に進み、小型/普通車を中心に扱うトヨタとしては、軽自動車で絶好調に売られるスーパーハイトワゴンのライバル車を用意しようと考えた。そこで約2年間で開発されたのがルーミーであった。

 当時はDNGAの新しいプラットフォームは開発途上で、従来のパッソ&ブーンと共通化した。ただしルーミーの車両重量はパッソ&ブーンよりも200kg近く重く、走行安定性と乗り心地で無理が生じた。エンジンも共通ではパワー不足になった。

 それでもルーミーはユーザーニーズを細かく分析して、収納設備を充実させた。後席を畳んで自転車を積むユーザーが多いので、荷室の床を反転させると、汚れを落としやすいシートが貼られている。このように優れた使い勝手とトヨタの強力な販売網により、ルーミーは好調に売れている。

王者アルファードに対するオデッセイの評価は?

オデッセイは低底ならではの室内高を確保しており、多人数乗車時の居住性が高い。最新の2021年3月販売台数では、オデッセイが2419台、一方のアルファードの販売台数は13986台
オデッセイは低底ならではの室内高を確保しており、多人数乗車時の居住性が高い。最新の2021年3月販売台数では、オデッセイが2419台、一方のアルファードの販売台数は13986台

・1位:トヨタ アルファード/9万748台
・2位:ホンダ オデッセイ/9716台

 オデッセイは、3列目まで床面を平らに仕上げたミニバンとしては、その位置が低い。従って1325mm(ノーマルエンジン車)の室内高を確保しながら、2WDの全高は1700mmを下まわる。アルファードと比べても床が約100mm低いから、乗降性が優れ、低い全高と併せて重心も下がるから走行安定性も優れている。

 さらにオデッセイは低床だから、3列目シートの床と座面の間隔に充分な余裕がある。アルファードの3列目は、この間隔が不足して足を前方へ投げ出す座り方だが、オデッセイの着座姿勢は自然な印象だ。従って多人数乗車時の居住性も、オデッセイが勝っている。

 ところが売れ行きはアルファードの圧勝だ。アルファードは全高がオデッセイよりも約250mm高いから、派手なフロントマスクと相まって、外観がオデッセイよりも立派に見える。車内に入ると、床が高いので、シートに座った時に周囲を見降ろす感覚になる。この点が人気の秘訣だ。

 ちなみにアルファードは現行型でプラットフォームを刷新したから、低床設計にして全高を下げることにより、乗降性、居住性、走行安定性、燃費性能などをさらに向上させることも可能だった。

 しかし、あえてそれをおこなわず、従来型のデザインを踏襲している。つまり「優れた機能よりも売れるクルマ造り」を優先させて見事に成功した。

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