最後の手頃なアルファロメオ! ジュリエッタは魅力的なイタリアンCセグハッチ!!

■アルファロメオらしいチャーミングさが魅力

アルファロメオ ジュリエッタ。シンプルななかにも「アルファらしさ」を主張する
アルファロメオ ジュリエッタ。シンプルななかにも「アルファらしさ」を主張する

 そんなジュリエッタだが、このクルマの魅力は何といっても、アルファロメオらしくスタイルと走りの両方が際立ってチャーミングな点。特にスタイルは、決して奇をてらったり、これでもか! とディテールに凝りまくっているわけではないのに、そこに停っているだけで唯一無二の空気感を漂わす。

 全体にシンプルだが、アルファロメオのシンボルの盾型グリルやランプ類をアクセントに使いながら、キュッと引き締まり、どの角度から眺めてもバランスがとれたいい形。

 インテリアも今や貴重になりつつあるアナログの物理メーターを眼前に据え、インパネの横の線とコンソールの縦の線をキッチリと通した普遍的なレイアウトで、デザインも流行りに迎合したところがない。なのでいつでもここに身を置くと安心感があるものになっている。

■五感に響く走りはアルファロメオの真骨頂

走行モードを「Dモード」にすると力強い加速と存在感のあるエンジン音を味わえる
走行モードを「Dモード」にすると力強い加速と存在感のあるエンジン音を味わえる

 そして走り。デビュー当初の日本仕様は1.4Lターボと1.75Lターボの2本立てだったが、現在は高性能な後者のみが用意されている。“1750”といえば往年のアルファロメオの高性能モデルの車名を連想させる数字であり、同エンジンはミッドシップの4Cにも搭載された。

 最新のジュリエッタでは240ps/30.6kgm(Dynamic時は34.7kgm)の性能を発揮させており、これにALFA TCTと呼ぶ6速の乾式デュアルクラッチが組み合わせられる。

 で、実際に走らせた時の印象は、こうして文字だけでお伝えするのがもどかしいほどだが、とにかくヴィヴィッドな活きのよさ、レスポンスが体感できるもの。

 実車には“ALFA D.N.A.”と呼ぶ走行モードの切り替えスイッチが備わり、これを“D(ダイナミック)”にすると、グッと身体がシートバックに押しつけられるような加速が得られ、エンジン音も一層、存在感を増す。アルファロメオの真骨頂であるエンジンを味わう楽しみひとしお、だ。

 もちろん足回りもアルファロメオならではの味つけ。いたずらに締め上げたものではなく、ワインディングでは自然なロールと掌で路面に触れているようなロードホールディングを感じながら、しなやかな身のこなしを披露してくれる。

 青臭い表現だが、少年が初めて自転車に乗って思いのまま自由に走り回れた時の感覚にも似た、五感のすべてに響く手応えを受け止めながら走らせている……、そんなアルファロメオならではのピュアな走りを、このジュリエッタはとことん楽しませてくれる。

■ちょっと手のかかるおてんば娘……だからかわいい!!

乗っていて楽しく、降りたら思わず振り返りたくなる、アルファロメオはそんなクルマだ
乗っていて楽しく、降りたら思わず振り返りたくなる、アルファロメオはそんなクルマだ

 経験的に筆者も、そんなアルファロメオのスウィートな世界観にハマり、ジュリエッタより少し前の世代のV6エンジン搭載車に数台乗り継ぎ、エンジン音や鼓動、しなやかなサスペンションフィール、そして停めてクルマから降りるとつい振り返りたくなるスタイルを随分長いこと楽しんだ。

 仕事柄、いろいろなクルマの試乗もするが、どんな新型車から乗り換えても、自分のアルファロメオに戻ると、たとえ走行距離が嵩んでいても決して引け目を感じないどころか、「ああ、やはりアルファロメオがいいね」と思ったものだった。

 僕の場合、何かクルマの不具合があっても安心して預けられ、診てくれる主治医との出会いがありがたいことにあった。アルファロメオの場合、他ブランドのクルマ以上に、そういう環境が大事であることは確かだ。

 アルファロメオのある暮らしから離れてわかったことは、アルファロメオは決してただのスペックだけのクルマではないということ。オーナーの気持ちを豊かにしてくれるパートナーのような存在であり、ジュリエッタもそんなパワーを秘めたクルマであるはず。

 限定車でなくても、最後のカタログモデルのVELOCE 1750 TBIが399.9万円かぁ……筆者も思わずホームページを見直したりして……。

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