3月の年度末決算セールが終わると、新車販売の次セールは夏のボーナス商戦期。しかし、今年の夏はオリンピックが開催されることもあって、夏でも早いタイミングの「6月に売っておこう!」という動きが新車販売の現場にはあるという。
オリンピックイヤーである今夏の新車販売セールはどうなるのか? その一方で、もしもオリンピックが中止になった場合はどのような影響が出るのか? 新車販売事情に詳しい小林敦志氏が考察する。
文/小林敦志、写真/kovop58@AdobeStock(トップ画像)、TOYOTA、ベストカー編集部
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■近年、夏商戦は6月がメインになってきている
2~3月に開催された年度末決算セールが終わると、新車販売の次の増販期は“夏商戦”となる。
過去には、“夏のボーナス商戦”などと銘打っていたものだが、非正規雇用など働き方の多様化が進み、またサラリーマンであっても、“ボーナス”の支給があることが、世の中的には“当たり前”ではなくなってきた。
そのため“夏のボーナス”という表現が一般的ではないとして、今ではほぼ使われることはなくなっている。
夏商戦は6~7月に実施されるのだが、近年では6月をメインとして販売促進活動するディーラーが目立ってきた。最近は新車の納期が遅延傾向にあり、これが常態化してきているのだ。そのため、セールを前倒しして販売実績を積み上げるという方向性は、ほかの増販期と同じような傾向ともいえる。
そして、さらに6月が四半期決算月(暦年締め上半期末でもある)となり、そちらを重視するメーカーやメーカー系ディーラーも増えてきているのも、“6月メイン”に拍車がかかっている。
また、7月は下旬に“海の日”が絡む3連休があるので、7月に入るとレジャー気運が高まり、新車が売りにくくなっていることも影響しているようである。
■今年の夏は東京オリンピック&パラリンピックが開催
これらに加えて、今年の夏商戦でのさらに6月の動きを活発化させるトピックがある。東京オリンピック&パラリンピックの開催である。東京オリンピックは7月23日から8月8日の期間で開催予定となっている。
「7月下旬からの開催だからそれほど影響しないのでは?」と思われる人もいるかもしれない。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大下(開催までに収束することは確定的に期待できないだろう)の開催になるとはいえ、7月に入れば開催直前で世の中はいつもどおりとはいかないうえ、お祭りムードで浮き足立ってしまうので、「7月は商売にならない」とするのが賢明な判断といえるだろう。
しかも、今年は例年の7月末の3連休が4連休(7月22~25日)となってしまうのである。
オリンピック開催に合わせた今年限りの特別措置なのだが、オリンピックの盛り上がりに加え、この4連休を利用してレジャーに出かけるという人も多数出てくることは当然の流れとなるだろう(新型コロナウイルス感染拡大の状況次第では移動自粛要請が入る可能性もあるが……)。
そもそも、この時期は学校が夏休みに入っているので、この4連休の前後に有給休暇を入れて、長期の家族旅行を計画するひとも出てくるものと考えなければならない。
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