■電子制御4WDはFRテイストアップも可能
しかし、4WDのBMWは、BMWらしさが薄いのだろうか。最新のBMWに搭載される4WDシステムは「xDrive」と呼ばれる電子制御式のもの。
常時、走行中の路面状況をホイール、駆動系、ステアリング、アクセル開度などセンサーを通して検知。そのデータを基に前後のトルク配分を最適化する。常に高いスタビリティ確保に貢献し、コーナリング時や降雪路面などでも安定性の高い走りを提供してくれる。
またFRベースの場合、通常時の駆動配分を4:6と後輪よりとすることで、FRライクな走行感覚も大切にしている。
■すでに30年の歴史を数えるBMWの4WD
BMWの4WDのイメージは、初のSUV「X5」登場からが強いが、既に30年を超える歴史がある。世の中に、BMWの4WDが初披露されたのは、1985年のフランクフルト国際モーターショーに出展された「BMW 325i Allrad(アルラッド)」。
E30型3シリーズをベースに、フルタイム4WDシステムを組み込んだもので、専用仕様として、最低地上高を30mmアップし、トレッドも拡大されていた。このシステムの前後のトルク配分は、37:63に固定。このセットアップは、しばしの間、BMW 4WDの基本となった。
4WDを意味するAllradの名は、現在もBMWアルピナでお馴染みだが、BMWでは、この名称を分かり易く「325iX」と改名。1988年からはステーションワゴン「ツーリング」も追加され、より活躍の舞台を広げることになった。
■走る喜びは駆動形式に捉われない
セカンドジェネレーションを迎えたのは、1991年のBMW5シリーズにも4WDモデルの設定だ。
名称こそ「525iX」であったが、フルタイム4WDに電子制御が取り入れられた新開発4WDを搭載した。日本でも日産のアテーサE-TSに代表される電子制御4WDが登場するなど、4WDのハイテク化が一気に進んだ時代であった。
動力配分が電子制御化は、濡れた路面や雪上でも安全かつニュートラルなハンドリングを実現し、更なる走りの洗練に繋がった。このメカニカルからデジタルへと制御の移行が、iDriveの未来に繋がる基礎を築いたといっても良いだろう。
そして、1999年に初のSUV「X5」の誕生と共に、より高性能化を図った新開発の4WDシステムが導入される。
しかし、BMWは4WDの進化のスピードを緩めることなく、2003年のコンパクトSUV「X3」デビューと共に、最新4WDシステム「xDrive」が誕生。これに合わせ、X5の4WDシステムも「xDrive」へとアップデートされている。
現在のxDriveのコンセプト同様、各部の常時センシングとシステムによる反応の良さを活かし、コーナリング中の発生するアンダーステアとオーバーステアを予測し、前後のトルク配分を最適化することで、オンザレールの安定した走りを生みだすなどのメリットを生みだした。
その後も、xDriveは進化を続け、日常での安全な走りを支えるだけ得なく、SUVやスポーツモデルなどの4WDの強みを生かした走りの実現にも大きく貢献し、幅広い車種で採用されている。
その根底には、如何なるシーンでも「駆けぬける歓び」を提供するというBMWイムズがあったからに他ならない。だからこそ、BMWの4WDは、BMWのSUVが誕生するよりも遥か昔から、多くのファンから愛され続けているのだ。
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