【スカイライン、エスティマ…】名門車たちの黄金時代を振り返る

■スバルレガシィ(4代目)

スバル(4代目)レガシィツーリングワゴン 2003〜2009年
スバル(4代目)レガシィツーリングワゴン 2003〜2009年

日本にステーションワゴンを根付かせ、4WDブームに導いたのがレガシィである。スバルの革新を担って1989年に登場し、歴代のレガシィはワゴンブームを牽引した。とくに水平対向4気筒DOHCエンジンにターボを組み合わせたGTは鮮烈な走りを見せ、今もファンが多い。3代目のBE系でセダンはB4を名乗ったが、これ以降も主役はワゴンである。この3代目はリアサスペンションをマルチリンクとし、走りの実力も非凡だ。

販売台数で最高だったのは、この3代目レガシィで、B4もそれなりに売れている。小型車サイズにこだわりながら、ハンドリングも上質だった。が、殻を破ったのは4代目だ。BP型レガシィは世界基準のグランドツーリングワゴンを目指し、全幅を1730mmに広げた。その結果、運動性能を飛躍的に高めている。また、今につながる安全運転支援システムのアイサイトを採用したのも、この4代目だ。デザインも現行レガシィより美しい。

■トヨタエスティマ(初代)

トヨタ(初代)エスティマ 1990〜1999年
トヨタ(初代)エスティマ 1990〜1999年

1989年の東京モーターショーに参考出品され、翌90年5月にデビューした「天才タマゴ」がエスティマだ。初代モデルは4気筒エンジンをアンダーフロア・ミッドシップに搭載し、背の高さを意識させない軽快な走りを実現した。

エクステリアは未来感覚のデザインで、キャビンは3列目まで広い。優れたパッケージングにより、快適なキャビンに加え、ラゲッジルームも広かった。

また、ボディサイズを小型車サイズにした兄弟車のルシーダとエミーナも送り込み、ともに人気を博した。

初代は長寿を誇り、安定した売れ行きを誇っている。2代目はキュートなスタイリングに生まれ変わり、ハイブリッド車も登場。3代目は日本専用モデルとなり、プラットフォームやパワートレインを一新している。こちらも長寿を誇っているが、初代ほどのインパクトはない。

やはり、歴代のエスティマのなかで最高傑作といえるのは初代モデルだ。もしかしたらミニバン史上最高のデザインと言えるかもしれない。そんな個性的なデザインは、今も色あせていない。

■スズキエスクード(初代)

スズキ(初代)エスクード 1988〜1997年
スズキ(初代)エスクード 1988〜1997年

今、世界的に流行しているクロスオーバーSUVの先駆車がスズキのエスクードだ。アウトドアだけでなく都会にも似合うストレート基調のボディをまとい、インテリアもシンプルだが、機能的なデザインだった。ボディタイプも多彩である。1988年のスタート時は3ドアモデルだけだったが、90年に5ドアのノマドを追加。V型6気筒エンジンも選べるなど、選択肢も多い。走波性能もライトクロカンの域を超えたものだ。だから海外でもヒットし、今なお慕う人が多いのだ。

2代目は正常進化モデルで、初代の不満だったキャピンスペースを広げ、快適性能を高めている。動力性能も余裕を増した。トータル性能は高いが、乗用車をベースにしたクロスオーバー4WDの台頭により日本での販売は苦戦している。これに続く3代目はスズキを代表するグローバルカーに成長し、メカニズムも大きく進化した。現行の4代目はクロスオーバー4WDになり、扱いやすいが、タフが売りのエスクードらしさは希薄だ。

■伝統の名車が売れ続けるためには

どのジャンルでも、長年にわたって名声を保っていくのは難しいことだ。老舗の料亭や旅館のなかにも、伝統の重圧に耐え切れなくなって店じまいしたり、没落していく店が多い。自動車も同じだ。名車といわれたクルマでも、代を重ねるごとにコンセプトが変わってしまい、陳腐化するクルマが後を絶たない。

「共通するのは車名だけ」というクルマも多くなった。三菱のRVRやNSXなどは、初代の面影はまったくない。

ここに登場する6車も、かつて栄華を誇り、後世に語り伝えられる傑作は1代、または2代だけにとどまっている。伝統に縛られ、知恵を絞っても新境地を切り開くことができないクルマがほとんどだ。

今はコスト削減が優先されるから、なおさらヒット作にはなりづらい。が、アルトやデミオは頑張っている。クラウンやランドクルーザーも常に新しいことに挑み、伝説と伝統をつないできたブランドだ。輸入車に目を移せば、VWゴルフやメルセデスベンツCクラスのように、海外には安定してヒットを続けているクルマも少なくない。

モデルの車歴が長いと「これまで乗り継いできたユーザー」の代替え需要が見込めるぶん、新しい大胆な手法を導入しづらい。とはいえ新規顧客への訴求力がなければジリ貧となる。伝統の名車は常に「古い客」と「新しい客」の両方を満足させなければならないわけだ。

難しいことはわかる。しかし「それ」続けられればメーカーを支えるイメージリーダーとして、屋台骨を支えてくれるモデルになる。

伝統の日本車は、今が踏ん張りどきだと思う。

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