ヒュンダイ(ヒョンデ)はなぜ日本再上陸を狙う? 本当の本当に日本で売る気か?

■日本市場において、どのように個性を発揮するか

 それでも日本で好調に売り続けるには困難が伴う。日本には8つの乗用車メーカーがあり、激しい競争を展開しているからだ。いわゆる自動車先進国の中で、日本は輸入車の販売比率が低い(日本メーカー車の販売比率が高い)。乗用車市場に占める輸入車比率は、北米市場では25%、ドイツは40%に達するのに、日本は12%だ。海外には日本メーカーの工場があるのに、日本国内では、海外メーカー車を生産していない。

 これは日本のユーザーが、海外ブランドに対して排他的なためではない。輸入車登録台数ランキングの上位に位置するメルセデスベンツ、BMW、VWなどのドイツ車は人気が高く、最近はスウェーデンのボルボも伸びている。日本のユーザーが共感を得られるクルマ造りをすれば、着実に販売実績を高められる。

 そのために輸入車にとって必要なことは、日本車では得られない魅力的な特徴をわかりやすく備えていることだ。例えば前述のドイツ車は、高速走行の機会が日常的に多いため、昔から安全に直結する走行安定性とドライバーを支えるシートはとても優れていた。

 このドイツ車の特徴は、特に昔の日本車とは明らかに異なり、運転すればスグに実感できた。例えば1975年に輸入販売を開始した初代VW『ゴルフ』は、快適装備は貧弱でシート生地も弱く、価格は割高だった。それでも走行安定性と乗り心地が優れ、シートの座り心地も背中から大腿部の付近をしっかりと支えた。小さなクルマなのに後席にも余裕があり、長距離を安心して快適に移動できたから、一躍話題のクルマになった。

欧州メーカーから有力なデザイナーを採用して責任者として据えた結果、デザインは大幅に進歩した
欧州メーカーから有力なデザイナーを採用して責任者として据えた結果、デザインは大幅に進歩した

 海外ブランドを日本に売り込む時は、このような日本車とは違う実用性を伴った魅力をわかりやすく訴求することが大切だ。最近ボルボの売れ行きが伸びた背景にも、プラットフォームの刷新によるボンネットの長い端正な外観、快適な乗り心地、先進的な安全装備の採用などがあった。

 ヒョンデも同様で、今はどのように日本市場を攻めるのか、戦略を練っている最中だ。2020年度(2020年4月から2021年3月)には、国内で新車として売られたクルマの38%が軽自動車だった。今の輸入車は小型/普通車だから、残りの62%の市場で勝負せねばならない。オペルも2021年に国内販売の復活を予定するが、今後の輸入車市場で成功するには、相当に優れた商品力が求められる。

 販売網の構築も課題だ。輸入車販売で長い実績を持つヤナセが取り扱えば安心ともいえるが、現時点でヤナセは7つのブランドを販売している。さらに増やすのは難しいかも知れない。

 このように輸入車の新規参入には困難が伴うが、選択肢が増えることはユーザーにとって大きなメリットになる。また既存のメーカーやブランドにも、よい刺激を与える。ヒョンデの復活に期待したい。

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