■トヨタ全体としての電動化戦略は大きく変わらず
トヨタは2021年4月19日、中国の上海モーターショーで新EVシリーズ「bz(ビーズィー)」の第一弾としてスバルと共同開発中の四輪駆動EV「bz4X(ビーズィフォーエックス)を世界初公開した。2022年央までにグローバルで販売する。
また、2025年までには「bzシリーズ」での7モデルを含み、グローバルで15のEVモデルと投入する。
2020年末時点では、乗用車と商用車をあわせてHVが45モデル、PHVが4モデル、EVが4モデル、そしてFCVが2モデルの合計55モデルが電動車だが、これを2025年までに70モデル程度まで増やす計画だ。
こうしたトヨタの電動化戦略は、「トヨタが2019年6月に行った『EV普及を目指して』というメディア向け説明会で示した基本方針に準じており、そこから大きなブレはない」(トヨタ関係者)という。
つまり、電動化のコア技術としてモーター、バッテリー、パワーコントロールユニットがあり、これに充電器を連携されるEV、充電池とエンジンを連携されるPHV、エンジンを連携させるHV、そしてFC(燃料電池)スタックと高圧水素タンクを連携させるFCVという電動化の基盤のなかで、トヨタとレクサスの電動化戦略が着々と進んでいくことになる。
また、EVについては専用プラットフォームのe-TNGAを導入する。
■レクサスの燃料電池戦略はどうなるのか?
では改めて、レクサスのFCVは今後、どうなっていくのか?
時計の針を少し戻すと、レクサスは2015年の東京モーターショーにレクサス初の燃料電池車コンセプトモデル「LF-FC」を公開している。
全長5300㎜×全幅2000㎜×全高1400㎜、前輪にインホイールモーターを持つFCVで、「未来社会のレクサスフラッグシップカー」という触れ込みだった。
この発表の数カ月前、当時のレクサスインターナショナル社長の澤良宏氏に対して、燃料電池車構想について聞いたことがあった。その際、澤氏は「レクサスでもしかるべきタイミングでFCVを量産したい」と話していた。
しかるべきタイミングとは、「MIRAI」とのパワートレーン共有化の目途がついた時、というイメージを筆者は持った。
結局、初代MIRAIではそのタイミングが訪れず、2020年に2代目MIRAIが発表されて以降も、レクサスFCVの話題がレクサスサイドから漏れてくることはなくなってしまった。
また、レクサスは第46回東京モーターショー(2019年10月23日~11月4日)で、電動化ビジョン「Lexus エレクトリファイド」を発表し、その象徴としてインホイールモーター式EVの「LF-30 エレクトリファイド」を公開した。
その際、「レクサスはこれからも、PHV、EV、FCVなど、世界各地のニーズやインフラ環境に応じて適材適所で商品開発を進めラインアップを拡充する」と説明している。
ところが、前述にように直近のレクサスブランド戦略のなかでは、「LF-Zエレクトリファイド」がレクサス全体の象徴となり、今後の商品構成のなかでFCVという名前が出てきていない。
その背景には、急速に変化するグローバルでのEVシフトがあると、筆者は見る。
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