ついに自転車にも反則金制度新設へ!! 大きな期待も現状は課題山積!?

■自転車は「車道の左側」原則でも実態は難しいケースも

最近では自転車専用レーンも増えつつあるが、物理的に区切りがあるわけではないため駐車車両が邪魔になったり、そもそも幅員が充分でない場所も多い(ramustagram-Stock.Adobe.com)
最近では自転車専用レーンも増えつつあるが、物理的に区切りがあるわけではないため駐車車両が邪魔になったり、そもそも幅員が充分でない場所も多い(ramustagram-Stock.Adobe.com)

 最近は自転車を取り巻く状況も大きく変わっている。以前に比べるとロードバイクと呼ばれる速度を高めて走行できる自転車が増えた。直近ではコロナ禍の影響もあって自転車を使う宅配業務が活発に行われ、自転車/歩行者/クルマの共存を見直すべき時期に来ている。

 子供の自転車に関する教育にも課題が多い。15年ほど前の話だが、息子が小学校から持ち帰ったパンフレットには「自転車は車道の左側を走る」と明記されていた。

 ただし学区内には2車線道路が多く、路上にはパーキングメーターも設置されている。自転車が車道の左端を走るには、パーキングメーターによって路上駐車する車両の右側、つまり車道の中央寄りを走ることになるから非常に危険だ。

 そこで2車線道路の区間では、自転車が歩道上を通行可能にしている。警察官も自転車で歩道を走っているのに、息子が小学校から持ち帰ったパンフレットには、そのことが記載されていない。真面目な子供は学校で習ったことを忠実に守るから、こんなパンフレットが配布されたら危険を誘発する。

 警視庁の広報課に問い合わせたところ「このパンフレットは全国統一で作られ、地域の事情を反映していない。そして子供によっては、車道の左端を走るのに、左端が記憶から抜け落ちて車道の右側を逆走するケースもある。確かにこのパンフレットは危険だから、今後は問題提起していきたい」と返答された。

 ちなみに現時点では、自転車の歩道の通行について、道路交通法が改訂された。以前は道路標識などで「歩道通行可」と指定された歩道のみを自転車で走れたが、今は13歳未満の子供であれば「歩道通行可」の指定がない場所でも走行できる。

 また、歩道の走行に関して「自転車の通行の安全を確保するため、歩道通行することがやむを得ないと認められるとき」という文言もある。分かりにくい表現だが、要は車道が危険だと感じた時は、歩道を走っても良いわけだ。

 歩道を走る時に注意すべきは速度だ。歩道は歩行者のための道路だから、軽車両の自転車を乗り入れるなら、速度を下げねばならない。そして歩道の中でも、車道寄りを走ることになっている。目的地に到着するまでの移動時間は長引くが、歩道では安全を考えて速度を下げるのは当然だ。

 一方、速度を高めたい自転車の利用者は車道の左側を走るが、クルマやモーターサイクルとは速度差が生じる。互いに協調する必要があり、自転車に運転免許はないが、運転に関する認識や技術が問われる。

 さらに直近では、実証実験として電動キックボードのシェアサービスも始まった。最高速度は時速15kmで、自転車レーンも走行できる。

 ただし歩道は走行できず、車道を時速15kmで走るとクルマやモーターサイクルとの速度差が際立って大きい。ヘルメットの着用は任意で、安全を犠牲にして手軽さを優先しており、これも数々の危険が伴う。

■「自転車」の在り方 見直すべき時代に

「なぜ左端を走るのか」をきちんと説明するところから始めれば理解度も深まるだろう(DavidSch@Adobe-Stock.com)
「なぜ左端を走るのか」をきちんと説明するところから始めれば理解度も深まるだろう(DavidSch@Adobe-Stock.com)

 以上のように電動キックボードも含め、自転車の取り扱いを見直すべき時期に来ている。

 理想的には、歩道(歩行と同等の速度で走る子供用の自転車を含む)/自転車&電動キックボードレーン(左側通行を徹底させて正面衝突事故を防ぐ)/従来と同様の車道という、3種類のレーンに区分するのが好ましい。

 なぜなら交通事故の発生は、移動速度の異なる歩行者や車両が接近することによって増加するからだ。同じ速度で走行すれば、一定の間隔(車両の場合は車間距離)を保てるが、速度差が生じると追い抜きや追い越しをする。この時に交通事故が発生しやすい。

 それでも事故の危険は生じるから、自転車にもヘルメットの着用義務化をすすめるべきだ。取り締まって反則金を徴収するのではなく、自転車の危険性を子供にも分かりやすく説明して、ヘルメットの着用を当たり前にする。電動キックボードも同様だ。

 「安全と危険」の判断は、生きるうえで不可欠だから、幼い子供も理解しやすい。チャイルドシートの着用も、ダミーの子供を座らせた衝突試験の映像などを見せながら説明すると、しっかりと理解する。ヘルメットの着用を促進させたい。

 「自転車は車道の左端を走る」という話にしても、結論だけを押し付けて暗記させようとするから理解できない。「なぜ左端を走るのか」を説明すれば納得する。

 この時には必ず安全の話にも触れるから、必要に応じて歩道へ避難したり、自転車から降りて押しながら歩く判断も可能になる。

 また歩道を自転車で安全に走るため、低速走行でフラつかない練習もすべきだ。ゆっくりとジグザグにスラロームしたり、細い板の上を走るなど、競技やゲームにすると低速走行の練習を楽しく行える。

 自転車の取り締まりを行って反則金を徴収するよりも、速度に応じたレーンの区分、ヘルメット着用の徹底、子供たちへの理解しやすい安全教育などをまずは確実に行うべきだ。

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