機能で変わる呼称
ここからはそれぞれのヘッドライト(前照灯)の機能を改めて解説しておこう。確認しておくべきなのは、ハイビームが通常使用する「走行前照灯」、ロービームが「すれ違い時前照灯」と定義されていることだ。
●デイタイムランニングランプ(昼間走行灯:DRL)
自動車メーカーによっては、デイタイムランニングランプ、デイタイムランニングライト、デイライトなどと呼び名が定まっていないのは、先の保安基準の変更で装着が認められるまでは、日本メーカーではアクセサリー類として扱われるなど、機能が正確に認知されていなかった要因もあるのだろう。
保安基準では「昼間に車両“前方”からの視認性を向上させるもの」とされ、フロント部分に装着される。テールランプやナンバー灯など、リア部分の灯火類は同時に点灯せず、メーターやナビ画面など室内の光量も“昼間設定”が維持される。
DRLを装着した車両では、昼間に走行中では、ライトスイッチをAUTOに設定することで、昼間はDRLが点灯、日没やトンネルなどにより暗くなるとヘッドライトが自動的に点灯といった作動となる。
●車幅灯(フロントポジションランプ)
車両のフロント左右両側に備わる灯火類として、夜間に自車位置を周囲に認知させるために車幅を示す機能目的で点灯する。DRLと異なり、意図的にオン/オフを切り替えられる。
●スモールランプ
車両に保安装備として設定されている幾つかの灯火類を組み合わせて点灯させる機能。実は保安基準には未記載というのが面白く、一般的にスモールランプのスイッチをオンにすると、車幅灯とともに尾灯(テールランプ:夜間に車両の存在を後方に示すための灯火器)なども点灯するので、こうした灯火類の総称ともいえる。これも任意でオン/オフの切り替えが可能であり、点灯時にはモニター画面やメーターなどの表示も夜間用に調光される。
スイッチング機能の各メーカーの対応
2021年10月からの継続生産車へのオートライト機能義務化に関して、日本メーカーの対応の動きとしては、価格が抑えられたベースグレードへのオートライトの設定が進むことが予想されるなど、安全性向上のきっかけとしては喜ばしい。
たとえば最近の個別車種への各日本メーカーの対応を見ると、トヨタパッソ(ダイハツブーン)は去る4月1日にトヨタが“コンライト”、ライト自動点灯・消灯システム、すなわちオートライトを全車標準装備するなど、継続生産車への対応が進んでいるようだ。
いっぽうで、日産の場合は、軽自動車のルークスと三菱eKスペース/eKスペースクロスの3モデル(2020年3月発売)に採用されているが、見た目にはオフ機能があって4段階のものがあっても、走り出せば自動点灯するパターンとされている。
続く2020年6月に発売されたコンパクトSUVのキックスでは上(奥)から○(消灯)、スモール、ライトオン、AUTOが設定となるなど、見た目の統一は図られていないようだ。ちなみに、2020年4月までに新車発表を済ませていれば、2021年10月の継続生産車への対応時期まで時間が稼げるということでもありそうだ。
続いてオートライト義務化への対応を数多くの車種を抱えるトヨタで見ていくとしよう。トヨタではオートライトという表記はなく、ポジションとしての「AUTO」で説明している。
ちなみに取扱説明書の文章では、DRLについては一部変更の前後で共通ながら「日中での走行時、自車が他の運転者から見やすくなるように、ハイブリッドシステム始動後、パーキングブレーキを解除して、ランプスイッチをAUTOにすると、LEDデイライトが自動で点灯します。(車幅灯より明るく点灯します。)」とある。
いっぽう、2021年2月の一部改良では点灯状態での周囲の明暗の違いでDRLとヘッドライト(表記はランプ)の作動の違いを明記している。
ヤリスの新型車への対応としては(2020年2月発売)、ランプスイッチの機能の説明で「消灯のしかた」項目が設定されている
いくつか他社の設定を確認しておくと、ホンダは統一が図られているようで、ホンダe(2020年10月発売)など、新車の自動点灯義務化に対応したライトスイッチは上からOFF、スモール、AUTOとなり、デフォルトとしてAUTOの位置に戻る。スズキハスラー(2020年1月発売)ではライトオン、AUTO、スモール/オフの3段階設定などとなっている。
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